ケアマネです。82歳の利用者が毎晩電話をしてきます【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
地域包括支援センターで高齢者の相談に応じている山口明子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.ケアマネジャーをしています。利用者の中に認知症で一人暮らしの男性(82歳)がいるのですが、うつ傾向があり、毎晩のように電話してきます。心配なのでなるべく訪問するようにしていますが、プライベートな時間がほとんどなく、疲れてしまいました。(49歳・男性)
A.おひとりで対応を続けるのは、とても大変なことだと思います。私は地域包括支援センターに勤務しているのですが、ケアマネジャーからの同様の相談はよく耳にします。ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所から仕事用の携帯電話を貸与されているケースが多いようですが、業務時間外は受け付けないといったルールを決めている事業所もあります。ただし、今は一人暮らしの高齢者が多いので、いつでもケアマネジャーと連絡がとれるというのは、安心感につながりますよね。実際には相談者のように柔軟に対応している事業所が多いようです。
すぐにできることとしては、ケアマネジャーが複数いる事業所であれば、1人が担当する期間を3カ月などと決めて、担当を交代していき、負担を軽減するやり方です。
気になるのは、利用者がどんな内容で電話をしてくるのかということです。うつ傾向があるとのことなので、例えば「死にたい」といったことを言うのであれば、病院の受診を考えたほうがいいでしょう。認知症の中でもレビー小体型の場合は、うつ症状が比較的よくみられます。認知症の原因疾患を特定されていないのであれば、認知症専門医を受診して診断を受けてほしいと思います。
毎晩のように電話をかけてくる根本的な理由がわかれば、それに対応することで電話をかけてこなくなる可能性はありますよね。対応方法を相談するためにも、地域包括支援センターを利用してほしいと思います。地域包括支援センターでは、「地域ケア個別会議」といってケアマネジャー、医療や福祉の専門職、民生委員などが集まり、支援が困難な個別ケースの課題を解決する会議を主催しています。まずは地域包括支援センターで個別に相談し、その場で解決できなければ、地域ケア個別会議を開催することを提案してもらえるのではないでしょうか。
特定事業所加算を受けている居宅介護支援事業所は、利用者に対して24時間対応することが条件になっています。こうした居宅介護支援事業所は支援が難しいケースに対しても経験が豊富です。地域の事業所に向けた研修も実施しているので、そうした機会に相談してみるのもいいと思います。
所属されている事業所のほかにも、地域内に相談できる場があるはずなので、おひとりで抱え込まずに、相談してほしいと思います。
【まとめ】利用者に毎晩のように電話をかけてこられるケアマネジャー。対応が大変なときには?
- 所属する事業所に相談し、担当を交代制にしてもらう
- 地域包括支援センターや特定事業所加算を受けている居宅介護支援事業所で相談する
- 利用者の様子によっては、病院を受診してもらう