認知症の父は散歩好き 民間サービスの探し方は?【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
地域包括支援センターで高齢者の相談に応じている山口明子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.認知症の父(80歳)は一人暮らしをしています。介護保険サービスを利用していますが、父は出歩くのが好きなので、同行なども頼みたいと思っています。介護保険外サービスの利用も検討していますが、どのように探せばいいですか。(55歳・男性)
A.散歩の同行は、基本的には介護保険サービスとして利用できません。ただし、散歩にホームヘルパーが同行することで、利用者のADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の向上に役立つことがケアプランに記載される場合には、介護保険サービスとして利用できる場合があります。市区町村で対応が分かれる場合があるため、ケアマネジャーから市区町村への相談、確認が必要です。
また、デイサービスやショートステイなどでは、目的を明確にしたうえで、介護保険サービスの一つとして、散歩など外出の同行をとり入れている施設もあります。訪問リハビリでも、リハビリ目的であれば、散歩に同行してもらうといったことはできると思います。
市区町村によっては、介護保険サービスのほかに「横出しサービス」といって、市区町村が費用を負担して認知症の人に対する独自のサービスを展開していることがあります。散歩の同行などの外出サービスを実施していることもあるので、市区町村や地域包括支援センターに配置されている認知症地域支援推進員に相談してみてはいかがでしょうか。
そのほか市区町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業の中に、住民主体の生活支援サービスがあります。これはボランティア団体などの会員である住民が行っていて、散歩などの同行も含まれます。ただしボランティアの住民は専門職ではないため、認知症の症状や転倒のリスクなどにより、対応に特別な配慮が必要な場合は対象となりません。対応してもらえるかどうか、確認しましょう。また、利用回数や時間には制限があります。
NPOや企業など民間が実施しているサービスもあります。全額自己負担になりますが、基本的には利用に制限がなく、誰でも利用できるというメリットがあります。
市区町村のサービスにしても地域の民間サービスにしても、地域包括支援センターで把握し、ケアマネジャーとも情報を共有しています。このため、介護保険外サービスを利用する際は、地域包括支援センター、もしくはケアマネジャーに相談するといいでしょう。口コミが豊富にあって利用者が多いところは経験が豊富といえるかもしれませんが、内容についてはお父さんの状況や希望をよく伝えたうえで、サービス提供者と直接相談されるとよいと思います。
安心して出かけられるように、お父さんに合ったサービスが見つけられるといいですね。
【まとめ】同行を依頼するために介護保険外サービスを利用したいときには?
- 外出がADLやQOLの向上に役立つ場合のほか、デイサービスやショートステイ、訪問リハビリなどは、介護保険サービスの一つとして同行してくれる場合もある
- 地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する