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「あなたは、小さな大切なサポーター」女の子とわたし:3

「弱年性認知症」ではなくて、「若年性認知症」と書くんだよ。なかまぁるは、それぞれの「私」が、自分らしく生き続けていくための情報をお届けします。この連載は、東京都八王子市のデイサービスで、認知症当事者スタッフとして働く、さとうみきさんが綴るエッセイです
「弱年性認知症」ではなくて、「若年性認知症」と書くんだよ

こんにちは、さとうみきです。
DAYS BLG! はちおうじ(以下、BLG! はちおうじ)には、玄関を入った所に小さな「駄菓子屋さん」があります。そこで出会った常連のお客様、小学3年生の女の子との交流を、全5回のシリーズで、お伝えしていきます。3回目の今回は、「認知症になっても大丈夫って言ってね」と問いかけた女の子が再び、BLG! はちおうじを訪ねてきてくれたときのお話です。

掃除を終えたわたしが、ボーっと休んでいると
ガラガラ〜っと扉が開く音
「さとーさん?」
わたしは慌てて、女の子を迎え入れました。

この日もまた大切そうに
100円玉を握って駄菓子を買いに来てくれたようですが
なかなか駄菓子を選ぶ様子もなく
次から次へといろんな話題が飛び出します。

他のスタッフが一足先に帰宅し
わたしと2人になると、ドスンと椅子に座って
また認知症について質問を投げかけてきました。

話していくと、彼女のお母さんは私の3歳年上
以前、話題にした「若年性認知症」を不安に思っているのかなぁ…と
心配になりました。

女の子にお茶を出し
わたしから、認知症だけではなく、いろいろ事故や病気で
不自由な暮らしになることは誰にでもあり得るということ
女の子の学校にもいるという発達障がいのお友だちのこと
たくさんの話をしたかと思います。

するとBLG! はちおうじの室内に貼られたポスターをずっと見つめ
メンバーさんの想いを書いて貼ってある付箋(ふせん)を一つひとつ、読み上げていきます。
わたしが書いた付箋のメッセージも読み上げた後、女の子は
「私もさとーさんみたいに書きたい」
そう言って付箋に何やら書き出しました。
「さとうみきちゃんがにんちしょう」

「何でー?!」
2人で笑いながら何だかホッコリしました。

自分で書いた付箋を貼って、大きな声で読み上げ笑顔で振り向きます
自分で書いた付箋を貼って、大きな声で読み上げ笑顔で振り向きます

付箋を書きおわったら、駄菓子を買って
「またねー! さとうみきちゃん!」
そう言って走って帰っていきました。

今回は、彼女の問いにちゃんと答えられたか……と振り返ります。
わたしの言葉で、
不安の表情ではなく笑顔で答えられたかな。

女の子は、小さな大切なサポーター。
BLG! のおっちゃんたちや認知症の方が迷子になっていても
彼女なら自然と手を差し伸べてくれる
そんな頼もしさ、心強さを感じました。

そしてまた別の日。
仕事を終えて、掃除もすんで、
2階で少し休んでから帰ろうとソファで横になると……
ウトウトする前に
ガラガラと玄関を開ける音がします。
スタッフが送迎から帰って来たかな?

「こんにちは〜」
あっ、女の子がきた!
ちょっと返事をせずに様子をうかがっていると
「みきちゃんがいるのは分かってる! 捜しに行くぞ!」
と、元気な声が聞こえます
睡眠を邪魔されてしまったけれど
ちょっとワクワクした気持ち
女の子は、すぐに2階に駆け上がってきました。

「見つけたー! 何で寝てる? サボってるの?」

そう言って私の周りで踊り出したり
甘えてくる女の子
思わず持っていた携帯でパチリ

見つかった瞬間を思わず写真に収めてしまいました
見つかった瞬間を思わず写真に収めてしまいました

「さて、今日は何の駄菓子がいいのかなぁ?」
一緒に1階へ下りると
やはり、いつものように駄菓子はなかなか選ばずに
「ねー、みきちゃん。なんでみきちゃん認知症になったの?
じゃくねんせい認知症だよね?」

わたしは逆に
「◯◯ちゃんは認知症のイメージって何かある?」
と聞いてみました。
すると女の子は
「わすれっぽい」とメモに書き、
「迷子になってしまう!」と言い足しました。

わたしに質問をしては、メモに書きとめていました。
わたしに質問をしては、メモに書きとめていました。

さらに、わたしをビックリさせる問いかけ。
「みきちゃんは体が弱いから、じゃくねんせい認知症なんだよね?」

うーん? 少し悩んだあと、わたしは気づきました!
「◯◯ちゃんは『弱年性』認知症って漢字で書くと思っている?」

すると答えは
「うん。違うの?」

今度はわたしがメモに書きます。
「弱年性認知症」は×
「若年性認知症」は◯

65歳未満で発症する認知症を「若い年」と書いて
「若年性認知症」って言うんだよと説明すると
「そうだったのかー、漢字にしてみると分かりやすいね」

そんな会話をしたり
かくれんぼをしたりして
(ちょっと疲れている体を奮い立たせて、張り切って隠れました)
また走って、元気に帰っていきました。

距離が縮まった感じがしました。
また来てくれるんだろな〜。
次回はどんな気づきがあるのかな。

女の子が帰って、わたしも帰宅です。
帰宅が少し遅くなることを自宅で待つ息子に伝えると
夕食を作ってくれていました。

今日は子どもたちの
ホッコリと優しい気持ちに包まれながら1日を終えることができました。
ありがとう!

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