もめない介護

義父母のシモ事情 外出同行の必携アイテム5つ もめない介護114

高速道路用の案内標識「Haneda 横浜方面」
コスガ聡一 撮影

離れて暮らす夫の両親が立て続けに認知症だとわかったのは2017年春のことです。認知症だと診断された後も、義父母はヘルパーさんや訪問看護師さんなど周囲の力を借りながら、夫婦ふたり暮らしを続けました。義父が入退院を繰り返すようになるまでは、よく一緒に外食もしましたし、春と夏のお彼岸には片道1時間以上かけて、夫が運転する車でお墓参りにも行きました。

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ただ、長時間の外出となると気になるのがトイレの問題です。義父母はほとんど介助なしでトイレに行けていましたが、排泄にまったく問題がなかったかというとそうではありません。以前、この連載でもご紹介しましたが、最初の認定調査の段階で義父からは「尿もれがあります。ときどき、便ももれます」と自己申告がありました。義母は「わたしは、そんな失敗はしません」と澄ました顔をしていましたが、実際にはちょこちょこ失敗もあって、ヘルパーさんからたびたび「尿パッドの容量アップを考えたほうがいいかもしれません」とアドバイスをもらうこともありました。

介護者の鞄に忍ばせたい、いざというときに便利なアイテム

2018年春に、義父が肺炎で入院したことをきっかけに、夫婦そろって介護老人保健施設(老健)でリハビリ生活をすることになり、そのとき、布パンツから紙パンツ(リバビリパンツ)にシフト。その後、自宅に戻ってからもリハビリパンツを愛用していたので、多少の漏れはなんとかなりそうという状況でしたが、念には念を入れて、次のような一式をバッグに入れて持ち歩いていました。

[1]使い捨てビニール手袋
[2]レジ袋
[3]ウェットティッシュ(できれば、おしりふきタイプ)
[4]フェイスタオル
[5]替えの尿パッド2枚・リハビリパンツ1枚

これは、わたしの実の母親(元看護師)から教えてもらった、外出時の排泄トラブルに対応する際に“あると便利”なアイテムをアレンジしたものです。

母の友人と、その知人の高齢女性がふたりで出かけた時のこと。高齢女性は電車のなかで急にお腹の調子が悪くなり、失禁してしまったことがあったそうです。母の友人も看護師だったため慌てることなく、とにかく2人とも次の駅で電車を降りました。高齢女性には駅ビルのトイレの個室内で待っていてもらい、着替えなどを手早く買い求め、事なきを得たと聞きました。

義父母と繰り返し外出するなかで、自分もいつ同じようなシチュエーションに出くわすかわかりません。着替え一式を持ち歩くのは難しいにしても、最低限、何を持っていれば対応がしやすくなるのか。母のおすすめアイテムの理由は次の通りです。

[1]使い捨てビニール手袋
後始末をしなくてはいけない時に、素手で触るのと使い捨て手袋を着用しているのとでは、精神的な負担がまったく違う。感染予防の観点からも持っていると安心。排泄トラブルでなくても、嘔吐してしまった時など何かと活躍するのでいつもバッグに入れておくと良い。

[2]レジ袋
汚れものをまとめたり仕分けたりするなど、捨ててもよいビニール袋があると何かと便利。使い捨てビニール手袋とワンセットで1~2枚、バッグにしのばせておくのがおすすめ。ふだんは買い物袋として使って、いざというときに備える手も。

[3]ウェットティッシュ(できれば、おしりふきタイプ)
排泄物で汚れた肌をトイレットペーパーで拭こうとしても、紙がボロボロになってしまったりして案外難しい。ウェットティッシュ、特におしり拭きタイプがあると短時間でサッと拭き上げることができるので、ケアをする側もされる側もストレスが少なくて済む。

母のおすすめはこの3点セット。ジッパー付きビニール袋にでもまとめて入れて空気を抜けば、かなりコンパクトになります。[4]フェイスタオル[5]替えの尿パッド2枚・リハビリパンツ1枚については、念には念を入れての追加アイテムとして、持ち歩くバッグが大きい時や車移動の時など、持てる荷物に余裕がある際は持っていました。

義父母との外出で、実際に排泄の失敗で大騒ぎ!となることはなかったのですが、それでもトイレまわりでこまごまとしたトラブルは起きました。そこは見落としてた!という失敗談をいくつか紹介します。

1)おしゃべりをしているうちに尿意や便意を忘れることがある

これは義父が教えてくれたことです。認知症介護が始まって半年ぐらい経ったころでしょうか。一緒に食事をしている時に、義父から「食事の後、30分ぐらい経つと、どうもお腹が落ち着かなくなる」と相談されました。
「トイレに行ったほうがいいと思うんだが、忘れてしまうこともある」と。

自分が忘れたこともスコーンと忘れてしまう義母と違って、義父は忘れたことは覚えてる場面も多々あって、「忘れたときの対策をしたい」という気持ちも強く、よくこうした相談をしてくれていました。

こう聞いてからは必ず、食事の後や移動の前後に「お手洗いに寄りましょうか」と意識して声をかけるようにしていました。「お手洗い、大丈夫ですか?」と尋ねると、義父が答えるより先に「大丈夫よ!」と義母が答えてしまうので、“大丈夫”は要注意フレーズ。「念のため寄っておこう」というスタンスで伝えるほうが、何かとスムーズだったように思います。

2)男性用トイレには「尿パッド」を捨てる場所がない

駅ビルのレストランで食事をした後、トイレに行った義父がなかなか戻ってこなかった時のことです。おかしいなと思って夫が様子を見き、「親父、大丈夫かい?」と声をかけると、個室の中から義父のかぼそい声がして、ゴミ袋を寄こすよう頼まれたといいます。

夫はその場を離れるわけにもいかず、私に「ゴミ袋持ってる? なかったらすぐ入手して」と電話をかけてきたのですが、連絡をもらったこちらも何が何やらさっぱり。しかも、この日に限って前述の便利グッズを車の中に置き忘れてきていたのです。ダメじゃん!

あわてて駅ビルの生活用品売り場で買い物をして、レジ袋をゲットし、男子トイレで合流。よくよく義父に話を聞くと、トイレに入ったら便がもれていたので尿パッドとリハビリパンツを脱いだけれど、捨てる場所がなかった。もう一度はくわけにもいかないし……と出るに出られなくなってしまっていたのです。

3)トイレで財布が行方不明!

「ポケットに入れていたはずの財布がない!」と大騒ぎになったのは、お墓参りに行った時のことでした。霊園から義父母が暮らす施設までは1時間以上の遠距離ドライブになるため、トイレを済ませておこうと思ったところまではよかったのですが、帰る道すがら義父が財布をなくしたことに気づきます。

義父は「ポケットに確かに入っていた」と言いますが、それが上着なのかズボンなのか……。車を停めて車内を大捜索するも見つからず。もし途中で落としたとすれば、いちばん怪しいのはトイレ!という話になり、来た道を戻ることに。

そして男子トイレで一生懸命、財布を捜し回るも見つかりません。どこに行っちゃったの! 落ち込む義父をなだめつつ霊園事務所で事情を説明し、落とし物が届いたら連絡をもらえるようにお願いをして……。とにかく施設に戻ろうと再び車に乗り込み、シートベルトをしめるのを手伝いながらふと義母の手元を見ると、バッグの中にちょこんと義父の財布があるではありませんか。おかあさん!

どうやらトイレに入る直前、「預かっておくわよ」と義父から財布を預かり、そのまま忘れてしまっていたようです。のど元まで出てくる「早く言ってよ!」を夫婦でグッと飲み込み、「あってよかったですね」「おふくろ、ありがとう」と言い合い出発進行。以来、トイレに入る時には直前に、必ず義父母のポケットをチェック。貴重品はあらかじめ預かっておくということを、新しい習慣として加えることになりました。

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