いつの間にか、寄り添ってもらっていた

こんにちは、さとうみきです。
今回は、わたし自身について少し書かせて頂きます。
わたしがDAYS BLG! はちおうじ(以下、BLG! はちおうじ)で当事者スタッフとして働きはじめてから、一年半が過ぎました。
BLG! はちおうじ代表の守谷さんは、当初はBLG! がわたしの居場所になればと、
孤立していたわたしに「働く」ことで居場所をつくろうと提案してくださいました。
きちんと働くのは久しぶりのことでした。
デイサービスがどんな場所かも知らず、仕事の内容も最初は何も分からず、
ひたすら食器洗いやメンバーさんのお手伝いをしていたかと思います。
しかしBLG! はちおうじが、スタッフもメンバーさん(BLG! では利用者をメンバーと呼びます)もフラットな関係であり、食器の用意や片付けなどもスタッフがやるのではなく、
やりたいメンバーさんが率先して行っていることを少しずつ理解していきました。
そして、メンバーさんへの過度なお手伝いも間違いだということにも気づかされました。
ご本人が出来ることはご本人がやり、
難しいことには、そっと一緒に工夫を考えたり、見守ったりすることの大切さを。
今ではわたしも、メンバーさんに任せつつ、見守ることを覚え、
メンバーさんと共に日々のこと、活動を行なっています。
そして、メンバーさんに「寄り添ったカタチ」、
それが当事者スタッフとしてのわたしの「カタチ」となってきておりました。
本日のエピソードです。
仕事終わりに何となく、わたしの中で気持ちがスッキリせずに
モヤモヤした気持ちのまま、メンバーさんを玄関で見送っているときでした。
ある男性メンバーさんが後ろから、か細い声でわたしに話はじめました。
「お前さんはいつも頑張っていて、今も何か辛そうな顔をしているから心配だよ」
そう言って涙を流されたのです。
わたしは身に覚えがあっただけに、そのメンバーさんに
「ゴメンなさい! 心配かけてしまいましたね。大丈夫ですよ!」
そう言って、思わずハグをして、わたしも涙を流しました。
このメンバーさんは昨年からBLG! はちおうじの仲間に加わった方で、
当初は、わたしの至らなさから厳しく怒られることがあり、
ビックリしたわたしは「帰らせてください……」と
帰宅してしまったことがありました。
そのとき「わたしも同じ当事者なのに」と、揺れ動く感情があったことも覚えています。
互いに涙を流し合うわたしたちを見た守谷さんは
「あのときの経験があったから、いま本当の関係性が築けているのかも知れないよ」
そんな風に言葉をかけてくださいました。
それ以降、
わたしの体調を気にかけて、声をかけて下さる優しいメンバーさん。

わたしはメンバーさんたちに「寄り添いたい」と思う一心でしたが
気づけば、わたしの方がメンバーさんやスタッフから
寄り添っていただき、元気をもらっていることに改めて気づかされました。
これって、わたしが八王子市で始めた
「おれんじドアはちおうじ」のピアサポートと同じなんです。
認知症本人による認知症本人のためのサポート。
「誰かのために」
「ひとりでも不安なご本人を笑顔に……」
そう思って、活動を始めたわたしが、
実は一番身近なメンバーさんやスタッフから
たくさん寄り添ってもらい、パワーをもらっていたのです。
まだまだ診断2年のわたしには、気持ちや体調にも波があり、
時には、「もう辞めたい」「当事者スタッフなんて迷惑だから」
そんなわがままを守谷さんやスタッフにぶつけてしまうこともありました。
しかしBLG! はちおうじは、わたしの第二の人生のスタート地点、
わたしにとってもなくてはならない
「素で居られる居場所」となり、かけがえのない仲間たちがいる場所です。
こんなわたしに寄り添って下さることに、改めてスタッフとメンバーさんに感謝です。
人はひとりで生きていくのは大変なこと。
だからこそ、認知症本人にとってやはり、人とのつながりや居場所が大切であることを、
身をもって感じました。
認知症と診断を受けたことは、幸せなことではありませんが
それが人生の転機となり、わたしにとっては不幸なことではない。
そんな風に少しずつ感じられるようになってきました。
今、わたしに出来ることを一つひとつ、想いを「カタチ」にしながら、
少しずつ前を向き、頑張っていきたいと思います。
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