認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

布団をかぶって泣いた日 春を感じる炒め物 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。季節は春へ。山菜の苦みが、身体を冬から春へ切り替える。

※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません

豚肉とふきのとうのみそ炒め

東京の自宅には猫が2匹いて、夫に世話をお願いしていた。実家は横浜、自宅が東京と近距離ではあったが、頻繁には自宅に戻れなかった。ある日、「アントニオがごはんを食べないから動物病院に連れて行ってほしい」と夫から連絡があった。10歳の牡猫だ。かかりつけ医に連れて行ったら、重篤な病気の可能性を指摘され、動物救急病院にタクシーで直行することになった。そこで「99%がんの可能性があり、治療をしないと数日の命になる」という突然の余命宣告。治療をするかどうかの重い決断を迫られ、頭が真っ白になって夫に電話した。その場で抗がん剤治療を選択し、あっという間に、アントニオは大型のコインロッカーのような部屋に入れられてしまい、なでてあげることができなくなってしまった。
窓越しに「アンちゃん、がんばって」と呼びかけると、「ニャア、ニャア」と、まっすぐに私の目を見て「怖いから出して」と言わんばかりに訴える。「ごめんね、ごめんね」と何度も謝り、一度、自宅に戻ることにした。もう1匹の猫、みゅーくんをなでてから、豚肉とふきのとうの炒め物をたっぷり作って、夫のごはんを作り置き、母と私の分をタッパーに入れて持ち帰った。
アントニオは、私が家にいない理由がわからず、さみしくて病気になったのかもしれないという考えが頭から消えず、夜中に布団をかぶって泣いた。母の介護と猫の病気が重なるなんて思ってもいなかった。生きていくのは大変だ。

豚肉とふきのとうのみそ炒め

旬の食材から季節を感じてもらおうと、春はふきのとうやたらの芽などの山菜もよく料理に使っていました。豚肉とふきのとうの炒め物は、みそと多めのオリーブ油で、ふきのとうの苦味をまろやかに。冷めてもおいしいのでお弁当のおかずにも向いてます。

材料 2人分

豚バラ肉 170g
ふきのとう 2個
たけのこ水煮 70g
オリーブ油(またはごま油) 大さじ2
みそ 大さじ1
酒(または水) 大さじ1

作り方

  1. 豚肉は3cm幅に切る。ふきのとうは4つに切る。たけのこは薄切りにして熱湯でさっとゆでて水けをきる
  2. フライパンにオリーブ油を熱して豚肉を中火で炒め、色が変わってきたらたけのこを加えて炒める
  3. ふきのとうを加えてよく混ぜながら炒め、酒で溶いたみそで調味する

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