実は多い「身内が○○で」見られると緊張するの!あるある探検隊の活動報告22
構成/福光恵 写真/レギュラーのマネジャー
「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま介護施設をまわっています。テレビや劇場の一般客相手と違って、施設の利用者さんたちを笑顔にするのは、やっぱり難しい! そんな2人が見つけた、今日の介護現場の“あるある”は――。
首都圏のとある市が主催するイベントで、介護レクリエーションについて講演をすることになったレギュラーの2人。楽屋で待っていると市の福祉課の女性が挨拶にやってきた。
「〇〇の母です。いつもお世話になってます~」
いつも? お世話? 〇〇さんて誰だっけ? パッと思いつかないまま、とりあえず条件反射で、
「こちらこそお世話になってますー」
と返す松本くん。ここからは会話のなかのヒントを頼りに、〇〇さんが誰なのか探っていくのが松本流のフォーマットだ。
会話が進んでくると、「息子は大きいのに、私は小さくてすみません(笑)」などとヒントがザクザク。だが、体の大きな〇〇さん……と記憶の糸をいくらたどっても、芸人仲間や後輩の知り合いは浮かんでこない。
んー、誰だ⁉ 答えが見つからないまま、悶絶する松本くんの胸の内をつゆ知らず。傍らで見ていた西川くんが、〇〇さんご本人にド直球で聞いていた。
「で、どちらの〇〇さんですか?」
そこから判明したのは、こちらの「〇〇さん」は吉本興業スタッフの〇〇さんのお母さんだということ。
「ですよねー」
と、すかさず顔色ひとつ変えずに口裏を合わせる松本くんなのだった。
西川くん 最近、介護レクリエーションをやらせてもらって思うんやけど、お笑い業界には身内が介護に関係している人がけっこう多いんやな。
松本くん そうや、そうや。親が介護スタッフをやっていて僕らを呼びたいとか、ラジオのパーソナリティのお母さんが施設に入ってるから「来てくれませんか?」とか。こんなに周囲に介護と関係している人って多いんや、と思うことが増えた。
西川くん あとでわかったことやけど、あのときの市の福祉課の”〇〇さん”も、吉本興業の息子さんから僕らのことを聞いて、講演会に推薦してくれはったんやな。なのに〇〇さんが誰かわからないんて……松本くん、失敬やで!
松本くん 最初は、てっきり芸人の誰かだと思い込んでたからな。でも西川くんが空気読まずに「誰?」って聞いたころには、もう社員さんの〇〇さんだって7割方わかってましたから。
西川くん ほんまか、それ。
松本くん それより西川くんこそ、あの日はいつもと様子がずいぶん違ってたやないか。施設でも講演会でも、みんなニコニコ和やかに楽しんでもらうのが僕らのいいところなのに、妙に固たいなーと思って……。僕がボケても、「ツッコむ」んじゃなくて、普通に「注意」してるし(笑)。
でも、知ってるで。関係者にスベった舞台を見られると、この先の仕事に響くかもしれないとか思って緊張するんやろ?
西川くん ええ、ええ、どうせビビりですよ! 社員さんとか、テレビ局のお偉いさんとかが見ていると思うと、のびのびできないというか……。プレッシャーを感じてしまうんや。
松本くん でも、あのときは社員さんじゃなくて、見ていたのはそのお母さんやろ。それでも同じか?
西川くん だって息子さんに「スベってた」って報告するかもしれないやん。あと自分の家族が舞台を見に来たときもダメやね。客席にいると思うとカチコチになる。
松本くん 施設の介護レクリエーションでも、同じようなことがあったな。どうも西川くんの様子がおかしいと思ったら……。
西川くん 舞台が始まる前に「楽しみに見させてもらいますね〜」って、メディアの人に挨拶されてな。
松本くん 前回のこのコラムでも、あれだけ介護レクリエーションでは「アイスブレイク」が大事だって力説したのにな。まずは、カチコチになった会場の空気をほぐして、信頼関係ができてからレクリエーションを始める、ていうのは鉄則や。ところが、施設の利用者さんのアイスブレイクはバッチリできてたのに、西川くんだけがまだカチコチだったという(笑)。
西川くん はい。アイスブレイクで僕ら2人が楽しい雰囲気を出せれば、笑い声が伝染して、みんなに楽しんでもらえる——てことは、よおくわかってますよ。
だけどな、僕に声をかけてくれるのは、すごくうれしいんやけど、できれば舞台の前じゃなくて、後にしてくれると助かるね。終わったあとに「見せてもらったわ」ならいいんですよ。「見させてもらうわ」がダメ(笑)。
松本くん 西川くんらしいわ〜(笑)。そんなん、普通にしてたらええのに。僕は誰がいても、ぜんぜん気にせえへんよ。気になるのは、差し入れのお菓子をくれるなら賞味期限の長いヤツお願いします、てことくらいやな。
西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!
(編集協力/ Power News 編集部)