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介護施設で、あるある探検隊♪

炸裂!焼き鳥からの味噌トーク 場が和みすぎ?あるある探検隊の活動報告21

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま介護施設をまわっています。テレビや劇場の一般客相手と違って、施設の利用者さんたちを笑顔にするのは、やっぱり難しい! そんな2人が見つけた、今日の介護現場の“あるある”は――。

レギュラーのお二人
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

介護レクリエーションの成否を分けるのは、その場にいかに「笑い」の雰囲気を作り出すかである。そこで重要なのが、場を和ませるために冒頭で行われる「アイスブレイク」。レギュラーの2人は、利用者たちを交えたゲームやトークで盛り上げることが多い。

この日、埼玉県東松山市の施設で利用者たちに投げかけたこんな質問もアイスブレイクの定番だ。でもいつもと違うのは、盛り上がり過ぎたこと……。

「この街で、いいおみやげはありますかね?」

すると、1人の男性利用者がこう答えた。
「やきとり!」

え、焼き鳥? そんなどこにでもあるものが名物なのか……と、思っていると、会場のあちこちから説明の声が挙がった。

「『やきとり』なんだけど、鳥じゃなくて豚の頭」
「そこに、味噌ダレを付けるんですよ」
「それも普通の味噌じゃなくて、辛味噌だね」
いろんな人がいろんな情報を上げてくれる。

「じゃあ、おみやげにその『やきとり』を買って帰ろうかな。どこの店がおすすめですか?」
まとめようとして松本くんがそんな質問をすると、今度は話があらぬ方向に。

「駅前の老舗Aがおすすめだな」と1人が言うと、もう1人が、「いやいや、Bの辛味噌もおいしいよ」と応戦。ついにはA店派とB店派に別れて、侃々ガクガクの言い合いが始まった。
「Aはお家騒動があってから、味が落ちたわ。やっぱりBだな」
「それは古い情報だろ。お家騒動は解決して、いままた繁盛している」

盛り上がるのはうれしいが、これではアイスブレイクだけで介護レクリエーションが終わってしまう。最後は、勢い込んだ4人の老婦人たちに「じゃあ、どっちで買うの?」と詰め寄られ、タジタジの松本くんなのだった。

「そしたら両方の店で買って帰ります~」

松本くん ほんまあの日は、「やきとり」話のアイスブレイクで場の空気がすっかり和んで、最後までものすごくいい雰囲気やったな。あちこちから声が上がって、会場全体が一体になって介護レクリエーションを楽しんでいる感じやったもんな。こうなると、もうなに言ってもドカンドカンとウケまくりや。こうやって会話が自然に広がっていくのが理想やな。

西川くん 考えてみると、利用者さんがピリピリして怒りはっているようなときは、だいたいアイスブレイクがしっかりできていなかったとき。笑いは信頼関係のないところには生まれんということや。

松本くん それだけアイスブレイクが重要ってことだな。

西川くん 普段のステージでは、先にほかにも芸人さんの出番があって、ある程度、流れができていることも多いけど、介護レクリエーションでは、そうはいかないからね。最初のつかみで、その後の流れが決まってしまう。

松本くん このアイスブレイクの場面でこそ、肝に銘じておかなきゃいけないテクニックが、「教えてください」作戦や。これは重要なことだから、何度でも言わせてもらうで(笑)。
まずは、とにかく僕たちが利用者さんたちの上に立たない。教えるんじゃなくて、教えてもらう立場になる。それが頭で考えなくても、自然とできるようにならないといけないな。

西川くん 利用者さんが「先生」で、僕たちが教えてもらう「生徒」というのは介護レクリエーションの基本だからね

松本くん それでなくても利用者さんたちは人生の大先輩でいろいろ経験されているので、アイスブレイクの時間を利用して聞くのが、ひとつのやり方。この「やきとり」話のときも、誰かが答えると、「それは違う!」と誰かが反論したり、「そうそう」と応援したり。勝手にどんどん話が盛り上がっていったやろ。いろんな条件が重なってうまくいったと思うけど、僕らが「生徒」に徹していたということも大きいんやないかな。

西川くん それと、いまちょうど出てきたけど、アイスブレイクの盛り上がりで、もう一つの大きなパターンが「グループ対決」やね。

松本くん もともと、利用者さん同士が顔見知りのときは盛り上がりやすい、ていうのがあるからね。でも、たとえば、デイサービスだと初めて会った人が多かったりするやろ。どうしても、「やきとり」話のときのようにA店派vsB店派みたいなことにはならない。

西川くん 知らない人の意見には、同意も反論もしにくいのが人情や。「あそこはおいしい」「いや、あっちのほうがおいしい」とは、なかなかならないね。

松本くん だから、そういう初対面の人ばっかりの施設では、わざと僕らが「グループづくり」を仕掛けることがあるな。たとえば、共通項を見つけるためにクイズをするとか。

西川くん 「このなかで海外旅行に行ったことがある人いますか?」と質問を投げるとかね。そうすると、「ハワイ」の人と「台北」の人で、その場でグループができたりする。マッチメークというかな。

松本くん あと単純に半分に分けてグループワークをしてもらうこともあるよね。松本チームと西川チームで「こっち負けてますよ」とか、「追い上げられてますよー」とか煽って、一体感を作る方法だな。まあ、どっちにしても正攻法はなくて、難しいことだらけやけど。……とか言いながら思い出したけど、西川くん、むしろ自分にアイスブレイクが必要なときがないか?

西川くん 松本くん、それはたしかにアル……けどな。そのへんの話は次週にしよか。

(編集協力/ Power News 編集部)

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