認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

雪が冷やした心をほぐすみぞれうどん 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。雪に見立てた大根おろしのおうどんで、冷えた身体もポッカポカ。

※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません

牡蠣みぞれうどん

1月に、関東地方で大雪が2週連続で降った年があった。テレビでは、大雪による交通障害や路面の凍結に注意を呼びかける内容のニュースが繰り返し流れていた。午後4時過ぎにデイサービスのスタッフから「大雪が予想されるので、送迎バスの安全が確保できないため、明日は休みになります」という電話が入った。デイサービスが休みになったら、母をひとりにはできないので、私は家をあけられなくなってしまう。すぐに仕事の予定を変更して、自宅で仕事ができるように調整した。
私と妹が小学生のころ、母は雪が降ると必ず「雪よ! 雪!」と大きな声で言ってカーテンを開けた。横浜で雪が積もるのはめずらしく、妹と飛び起きて大喜びした思い出がある。
私が母に「雪よ! 雪!」と言えば、もしかしたら昔のことを思い出すかもしれないなんてほのかな期待を抱いて、「雪よ! 雪!」と言ってみたが、特別な反応はなかった。
母はデイサービスが休みになった理由がわからず、ダウンコートを着て、帽子を被り、ザックを背負い、いつでも出発できる格好で食卓に座り、ムスッとしている。雪でデイサービスの車が迎えに来られないと伝えるために、しんしんと降り続ける雪をベランダから何度も見てもらううちに半日が過ぎた。
昼食はみぞれうどん。母に「大根をおろして」と頼み、気を紛らわしてもらい、ようやく笑顔が戻った。

牡蠣みぞれうどん

大根おろしたっぷりのみぞれうどんです。牡蠣の味が煮汁にしみ出し、豊かな味わい。乾麺のうどんではなく、冷凍うどんを解凍して使うと、調理時間が短くなります。

材料 2人分

冷凍うどん 2玉
むき牡蠣(加熱用) 大4個(小粒なら6個)
大根おろし 200g (水気をきった状態で1人90g)
めんつゆ(製品の表示どおりに水で希釈しておく) 200ml
春菊の葉先 2本分
ゆずの皮 適量

作り方

  1. 牡蠣はざるに入れて10秒ほど流水で洗い流し、キッチンペーパーで拭く。春菊は長さ3cmに切る
  2. 鍋にめんつゆを入れて煮立ってきたら、牡蠣を煮て火を通す。大根おろしを加えてひと煮したら、春菊を加えてすぐに火を止める
  3. うどんは別の鍋でゆでるか、電子レンジで解凍して器に盛り、2をかけて、ゆずをのせる

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