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認知症でデイサービスを嫌がる父 介護する母の負担が心配 専門家が説明

食事をする男性のイメージ

見守り支援を行う梅澤宗一郎さんが、介護経験を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.両親は二人暮らしなのですが、父(85歳)が2年前に認知症になり、母(80歳)が介護しています。父はもともと家で映画を観たり、本を読んだりするのが好きで、団体行動やいろいろな人とコミュニケーションをとるのが苦手です。母の負担を減らすため、デイサービスに通わせるようにしましたが、かなりストレスを感じているらしく行きたがらなくなってしまったそうです。家にこもっていては母の負担が大きいだけではなく、症状も進行しそうで困っています。(55歳・女性)

A.最初はデイサービスに行きたがらない人が、ほとんどです。「遊んでいるわけにはいかない」「家でやることがたくさんある」「やりたくもない体操をやらされる」など、理由はさまざまです。相談者の場合、お父さんがデイサービスに行く一番の目的が「母の負担を減らすため」になっているようですが、もともと内向的な方なのでその目的だけで通うのは難しいかもしれませんね。通っているデイサービスが、お父さんのためになる場所なのかどうか、というところが重要だと思うのです。

このようなことがありました。65歳の認知症の方が「年寄りばかりであんな所は行きたくない」とデイサービスに通うことを頑なに拒否していました。我々も無理してご本人を誘うのをやめていました。別の日に話していると、「私だって何か役には立ちたいのよ」と話されていたので、「ボランティアとして来てほしい」とお願いし、得意なできることを探ると「肩もみくらいならできるわよ」と言ってくれました。それをきっかけにして、何度もご本人に声掛けをし、デイサービスに行く目的を伝えていきました。繰り返し同じことを伝えた結果、利用者さんや職員の肩もみをしにデイまで来てくれたんです。みんなから「ありがとう」と言われて笑顔になられていました。帰りに行きつけの地域包括支援センターに寄って「デイサービスで肩もみのボランティアをしてきたのよ」と嬉しそうに話しに行かれたそうで、それ以来短時間から通ってくれるようになりました。

一方的に誰かのお世話になることを人は好まないものです。やりがいや意義を感じてこそ、デイサービスにすすんで通えるようになりますし、そこが居心地のいい場所にもなっていくのではないでしょうか? デイサービスのスタッフの方と連携して、お父さんがデイサービスに行く意義を見つけられるといいですね。例えば、お父さんは映画を観るのがお好きということなので、「月に1回お父さんおすすめの映画の上映会を開く」といったことができると、「スタッフと映画の打ち合わせをしないといけないから、デイサービスに行かなくては」という使命感や動機が生まれ、通う理由になるかもしれません。

いろいろ検討した結果、今通っているデイサービスがお父さんに合っていないという可能性もあります。デイサービスの傾向や取り組みも多様になってきているので、男性の利用者さんが多い、趣味活動があるなど、もっとお父さんに合うところがあるかもしれません。はじめの数回だけでも家族で一緒に通えると、最初のハードルは下がるかもしれないですね。デイサービスによっては、こうした対応ができることもあると思うので、相談してみてください。
デイサービスの職員さんやケアマネジャーさんと相談しながら、お父さんにとって合っている場所を見つけられることで、生活にハリが出て、お母さんの負担も軽くなると良いですね。

【まとめ】デイサービスにすすんで通ってもらうためには?

  • やりがいや意義を感じてもらう
  • 通う人のためのデイサービス選びを

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