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認知症の母を「俺が介護する」という父は家事ができない【お悩み相談室】

妻の車椅子を押す男性のイメージ

介護事業に携わる井上信太郎さんが、介護経験を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.両親が電車で1時間くらいのところに住んでいますが、母(79歳)が認知症になりました。父(80歳)は元気で「自分が面倒をみるから問題ない」と言っていますが、もともと仕事一筋で生きてきた人で家事は一切できず、心配です。妻に同居を提案しましたが、反対されてしまい、困っています(55歳・男性)

A.高齢になると「人に迷惑をかけたくない」という思いからか、自分の希望を言わなくなる人も珍しくありません。けれどもお父さんの言葉からは「妻の面倒をみたい」「今まで通りの生活を続けたい」という思いを感じることができます。そんなお父さんの思いを尊重してはいかがでしょうか? もちろん、本人であるお母さんの気持ちを確認することも大切です。認知症になっても気持ちを表現することはできますから。

お父さんは「元気」で「家事が一切できず」ということですが、本当にそうでしょうか。親子という近い関係だからこそ、レッテルを貼ってしまうことってありますよね。仕事一筋とはいっても生活をしてきたわけですから、何らかの家事はできるかもしれません。まずはお父さんはどんなことができて、どんなことができないのか、体調や体力はどうか、お父さんのそういった「介護力」を理解することが大事だと思います。その際はケアマネジャーや介護サービスを行う事業者など、第三者である専門職と一緒に判断することをおすすめします。普段付き合いがある隣近所の方に聞いてみるのもいいと思います。そしてお父さんができない部分は介護保険サービスを利用したり、地域の人たちに支えてもらったりすれば、今の生活を続けられるかもしれません。

介護保険サービスを選択する際には、お父さんの気持ちを優先してくれるケアマネジャーや事業所を探すことが大事です。老老介護という状況を受け入れて、今の暮らしを継続するためのヒントを与えてくれるような人が理想です。

また、相談者の妻が同居に反対しているとのことですが、たとえ同居しないとしても息子夫婦としてお母さんとどのように関わっていけるのか、どんなことならできるのかということを夫婦でよく話し合っておくことも大切です。

【まとめ】老老介護を始めるには?

  • 本人たちの希望を尊重する
  • お父さんの介護力を第三者とともに判断する
  • 介護保険サービスを利用する際は老老介護の状況を理解してくれるケアマネジャーや事業所を探す

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