認知症の介護で大事なこと 「一休み」を取り入れる もめない介護13
編集協力/Power News 編集部
離れて暮らしながら「通い」で介護するのは体力的には大変な面もあるけれど、精神的にはラクなところもある。そんな話を時折耳にするようになりました。わたし自身も、通いタイプの介護を経験してみて、気持ちの切り替えのしやすさは実感しています。
ただ、それでもやっぱり、無性に気が重い日もあります。
義母の好意だと頭ではわかっているけれど、いつ買ったのかわからないお菓子を勧められるのがつらい。
「ドロボウに下着を盗まれた」「誰かが家に入り込んでいる」に、耳を傾ける余裕がない。
明確な理由はないけれど、どうにも親に会いたくない。
イライラして、きついひと言をぶつけてしまいそう……。
そんなとき、どうするか。
やさしく真面目な人ほど、爆発しやすい
まずは、通う頻度を調整することを検討します。たとえば「週1回、月に4回は顔を出す」と決めている場合、次回は<1回休み>にします。
口実は、仕事でも家庭の事情でも、仮病でもなんでも構いません。親がこちらを気遣ってくれるタイプなら、できるだけ心配をかけないような理由を選びたいところですが、「世話をしてくれて当たり前」というタイプの場合は、あえて深刻そうに「体調が思わしくない……」と伝えるのも一案です。
介護が必要になったとき、親が子どもに対してどれぐらいのかかわりを期待するか。それはご本人の性格や価値観よっても大きく変わりますし、もともとの親子関係によってもずいぶん違うようです。
うちの場合、どちらかというと義父母は「子どもには面倒をかけたくない」と強く思っているタイプです。それでも、ご本人たちが思う「ワガママ」と、こちらが感じるそれにギャップが生じることは少なくありません。「そんなこといきなり言われても困るよ」ということにも時折直面しますし、介護が始まったころには「いまは無理だけど、次は対応するね」と言えば済む話までも、必死に対応してしまい、モヤモヤをため込んだこともありました。
ただし、気をつけたいのが我慢を重ねた結果、「わたしだってつらいのよ!」「そんなにしょっちゅう時間を使っていられない」と攻撃的にぶちまけてしまうこと。親孝行でやさしく、真面目な人ほど限界まで我慢を重ね、感情を爆発させる傾向があるようです。
積極的に<一休み>を取り入れて
言いたいことを言い合ってスッキリ! となればまだいいのですが、親を傷つけてしまったという罪悪感に苦しめられたり、言わなくてよかった一言を突きつけた結果、子どものほうがより一層傷つき、忘れられずにいることも。
そんな苦しみの連鎖に陥らないためにも断然、おすすめなのは適当な口実を使って、サボることです。緊急性が高く、命の危険があるよう場面ではそうそうできないかもしれませんが、「行かないと親が不機嫌になる」「愚痴がひどくなる」といった状況であれば、ぜひ積極的に距離をとっていきましょう。
これは相手が親に限った話ではありませんが、「不機嫌な態度を見せれば、自分の好きなようにコントロールできる」と相手に思わせるのは決して得策ではありません。たとえ、相手が親であっても、助けが必要な人であっても、言うべきときはノーということが大事です。
そこまで関係がこじれているわけではなく、ほんの少し疲れたなというときも、積極的に<一休み>を取り入れていくのは大切なこと。なんといっても、介護はいつ終わるともわからない長期戦。「いまだけ頑張れば……」と無理を重ねると、親より先にこちらがギブアップということも、考えられます。
空腹注意。戦の前には腹ごしらえを
一休みにこぎつけたらその日はめいっぱい、自分のために時間を使いましょう。「わたしばっかり楽しんで申し訳ないな……」という罪悪感は本来抱く必要はないものですが、少々やましい気持ちがあったほうが、優しく対応できたりもします。
ただし、介護関連の手続きや病院の付き添いなどで、なかなか思うように日程を動かせないこともあります。そんなとき、おすすめなのはまずは会う前に、お腹になにか入れておくことです。
おにぎりでも、サンドイッチでも好きなもので構いません。
「腹が減っては戦ができぬ」ということわざではありませんが、たしかに空腹がおさまると、ちょっと気持ちにゆとりができて、対応にも余裕が生まれるのです。朝早くから移動して、やらなくてはいけないこともたくさんあり、ゆっくり食事をとっている時間なんてない。そんなふうに追い詰められている日こそ、“空腹注意”です。