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WATASHI 戸﨑美和が撮る当事者

「長塚律子さん」WATASHI 戸﨑美和が撮る当事者

写真家であり社会福祉士でもある戸﨑美和さんが、当事者の一瞬を切り取りました。どのようにファインダーをのぞいて、どういうタイミングでシャッターを切ったのでしょう。その内側の世界は?

長塚律子さん_本文
「長塚律子さん」80歳

画家であり、子どもたちに絵画教室を開いていた長塚さん。
日々の暮らしのなかでも美しいもの、キレイな色の組み合わせを見つけることがとてもうまく、“キレイね”“いいじゃない”と感覚的な言葉が飛び交っています。
絵を描いてみませんか?とうかがうと「そうね、おっきくなきゃね」と、腕を大きく広げました。100号サイズ……?まさか。
後日、お嬢様にこの話をすると、「母は大きいキャンバスに油絵の具じゃないと描かないんです」と、アトリエにあった絵たちの説明を受け、改めてそのこだわりを知りました。
撮影当日、撮る意図をお伝えすると「面白そうね」「うれしいわ」。ピンク、黄色、ブルーの3色の背景紙から、一瞬で「これにする!」とピンクを選ばれました。
近くにあった赤い椅子を置くと「あら、キレイじゃない」と言って座り、クルクルと回りながら笑う律子さん。
いつか大きな作品が出来上がることを楽しみにしながら、シャッターを切りました。

戸﨑美和さんが、撮影中に交わしたキラリと光る“コトバ”を集めました。

「律子さん」のコトバ

「描いちゃおうか!」「きれいね」(背景紙が大きく、そのピンクの紙を撫でながら)

ファンデーション無し、髪染めもしない美しさの秘訣をうかがうと「あら、そう?ふふ」「うれしいわね」

撮影中、『朧月夜』をフルコーラスで歌われていました。

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