「伊藤龍人さん」WATASHI 戸﨑美和が撮る当事者
戸﨑美和
写真家であり社会福祉士でもある戸﨑美和さんが、当事者の一瞬を切り取りました。どのようにファインダーをのぞいて、どういうタイミングでシャッターを切ったのでしょう。その内側の世界は?

目の前で書いたその文字を見て、はっとしました。達筆でした。
「今思っていることを書いてもらってもいいですか?」とたずねた後、1、2分無言。
さっきまで一緒に散歩しながら、猫が好きな話や、これまでしてきた仕事の内容、家族への思いなどを、照れながら言葉少なめに話されたその印象と大きく違って見えました。
伊藤さんと出会ってからまだ3カ月を少し越えたくらいですが、カメラを向けると恥ずかしそうにして、いつも笑顔。
今回も笑顔の写真が多く、どれを載せるか最後まで悩みました。 そのなかで一瞬、真っ直ぐこっちを射るように眼差す伊藤さんがいました。
カッコよかった。
ポケットに手を突っ込みながら歩く姿、俳優さんみたいにしっくりきていました。 私の知らない伊藤さんがそこにはいて、どきっとした瞬間でした。
戸﨑美和さんが、撮影中に交わしたキラリと光る“コトバ”を集めました。
「伊藤さん」のコトバ
「ただ、日々を淡々と、平凡に過ごしております」(ボールペンで達筆に)
「ほんと、忙しく仕事してただけだから」
「おんなは強いよね」(照れた表情で、お嬢様たちの話をして)
「散歩はいいですよ。身体が鈍っちゃうしね。この辺りは詳しいんです」(ポケットに手を入れながら見渡している)
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