「米がない」口癖の母に混ぜご飯 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん
撮影/百井謙子
フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。目にも鮮やかなごはんで、母の誕生日を彩ります。
※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません
3月は母の誕生月で、食卓で交わされる会話の多くが誕生日の話題になった。
生年月日は正確に言えるが、25歳になったり、35歳になったり、90歳になったり、うらやましいほど変幻自在だ。誕生日プレゼントに何が欲しいと聞くと、「お米」と答える。「洋服や帽子でもいいよ」と別のものを提案するのだが、「お金がないからいらない。米があればいい」と断られてしまう。母は米に執着していた。
戦後の食糧難を経験した母は、米がなくなったら家族が困るといつも心配してきたのかもしれない。
2kgの米1袋だけでは不安にかられるようで「米がない、米がない」と口癖のように言うものだから、2袋を買い置きするようになった。
「大丈夫、お米はまだ2袋あるよ」と見せると、実際に見ると気持ちが落ち着くのか、しばらく米のことは言わなくなる。
昔、母はパン好きだったが認知症になってから、断然、米を好んで食べるようになった。白飯も好んだが、彩りがきれいな混ぜごはんは喜んでくれた。
えびとそらまめの混ぜごはん
しょうがとごま油の香りを効かせ、食欲を刺激する中華風の混ぜごはんです。えびの赤とそらまめの緑で色鮮やかに仕上げ、視覚的にも混ぜごはんが映える濃い色の茶碗に盛りつけました。
材料 2人分
温かいごはん お茶碗2杯分
むき海老 100g
そらまめ 20個
しょうが(薄切り) 3枚
ごま油 大さじ1
酒 小さじ1/2
塩 少々
しょうゆ 少々
作り方
- むきえびは背わたを除き、そらまめはゆでて薄皮をむく。しょうがはせん切りに
- フライパンにごま油を入れて熱し、しょうがを焦がさないように炒めて香りを出す
- そらまめとむき海老を加えて炒め、酒を回しかけふたをして1分ほど蒸し、海老に塩をふる
- ボウルにごはん、3を入れてしゃもじで切るように混ぜ、しょうゆをたらす