認知症の夫と離婚できますか?【お悩み相談室】キタジマが答えます
構成/熊谷わこ
Q. 離婚を考えていた夫が認知症になりました。離婚できますか?
A. 夫が認知症であっても離婚届を提出すれば、受理はされるでしょう。しかし認知症は本人が意思決定できない状態、すなわち契約能力がないということなので、厳密にいえば不当な離婚になると思います。そのため、たとえば夫側の親族が「不当な離婚だ!」と訴えたら、離婚が成立しないなど、妻側に厳しい判決が出る可能性はあります。
実は今回のような相談は少なくありません。夫が若い頃から家庭を顧みなかったり、暴力や暴言をふるうなどして妻の方はずっと離婚したいと思ってきたけれど、きっかけがなく決断できないままズルズル来てしまった。その挙句に夫が認知症になった――というケースです。これまで夫にさんざんひどいことをされ恨んできたとしても、離婚となると認知症の夫を見捨てる形になるので罪悪感を抱くもの。離婚をあきらめてしかたがなく介護している方もいらっしゃいます。
とはいえ仲のいい夫婦でも認知症の夫と向き合い、介護していくのは大変なこと。ましてや夫への愛情がない妻が介護をするのはいばらの道で、覚悟が必要です。妻には妻の人生があります。難しい問題ですが、ご自身が後悔しない方法を選ぶしかありません。
離婚問題に詳しい弁護士などに相談してみるのも一つの方法です。
〈つぎの質問を読む〉自尊心を傷つけないでしょうか?