「認知症法案づくりに、当事者の声を」 認知症本人たちが「ともに生きる希望宣言」を発表
取材/冨岡史穂
日本認知症本人ワーキンググループは11月1日、厚生労働省内で記者会見を開き、「認知症とともに生きる希望宣言」を発表しました。ワーキンググループに参加する約30人の認知症本人たちが、会合やメールなどで話し合いを重ねてまとめたもので、「誰もが認知症とともに希望を持って生きていける社会を築く、新たなスタートにしたい」と、藤田和子代表理事は話しています。
日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)は、2014年10月に発足した国内初の当事者組織で、「認知症とともに生きる人が希望と尊厳を持って暮らし続ける地域社会づくり」を目指して活動しています。今回の希望宣言の発表は、JDWGの存在をまだ知らない当事者とのつながりを増やし、国、政党、地域自治体、関係機関などと協力しあいながら、活動の輪を広げることを目的としています。
国会ではいま、認知症基本法の制定に向けた議論が始まっており、年内にも与党案がまとまる見通しとのことです。記者会見で藤田さんは、法案策定の動きについて、「この希望宣言を読んで、私たち抜きで議論することなく、私たちの声が反映した法律をつくってほしい」と話しました。副代表理事の佐藤雅彦さんは「認知症対策という言葉には、(認知症が)悪いもので、それをやっつけるという意味合いを感じる。認知症とともに生きる人たちの基本的人権が守られるような法律を作ってほしい」と訴えました。
JDWGが発表した【認知症とともに生きる希望宣言】
- 自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
- 自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、社会の一員として、楽しみながらチャレンジしていきます。
- 私たち本人同士が、出会い、つながり、生きる力をわき立たせ、元気に暮らしていきます。
- 自分の思いや希望を伝えながら、味方になってくれる人たちを、身近なまちで見つけ、一緒に歩んでいきます。
- 認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを一緒につくっていきます。