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謙虚で寡黙な父が自慢話を繰り返すように 変貌ぶりが心配【お悩み相談室】

家族と集まる高齢男性、Getty Images
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認知症介護指導者の中島健さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

 Q.高齢の両親は2人暮らしなので、月に一度くらいは家族で実家に行くようにしています。父は謙虚で寡黙なタイプなのですが、1年ほど前から家族で集まるたびに、現役時代の同じような自慢話を繰り返すようになりました。人が変わったようで心配です。(50代・女性)

A.高齢の父親が、人が変わったように話すのは、娘としては心配になりますよね。父親に対して「謙虚で寡黙なタイプ」というイメージがあるからこそ、今のお父さんを見て人が変わったように感じるのだと思います。しかし、そのイメージはお父さんの一面にしか過ぎないのではないでしょうか。もしかしたら、職場や友人など家族以外の人といるときのお父さんは、よくしゃべったり、騒いだりすることもあったのかもしれません。現役のときは、父親とはこうあるべきという姿を家庭では演じていた可能性もあると思うのです。

しかし、娘も家庭を持ち別々に暮らしている今は、娘を1人の大人として対等に見ているはずです。だからこそ、自分がしたい話を素直にできるようになってきたとも考えられます。さらに娘家族とは月に1回しか会えないわけですから、会えたときはうれしくて、つい自慢話を繰り返してしまうのかもしれません。

これまでもお父さんは、自分が仕事で活躍した話を本当は家族にしたかったのではないでしょうか。ようやくそれを我慢することなく話せるようになったわけですから、娘としては「お父さん、すごいね」と話を聞いてあげればいいと思います。高齢になると不安やさみしさを感じやすくなりますが、自慢話をしている間はそうしたネガティブな感情はなくなりますから、お父さんにとっては精神的にもいいことだと思います。

同じような自慢話を繰り返してしまうのは、高齢の方によくあることなので仕方ないですが、「お父さん、昔こんなこともあったよね」と違う話をふると、別の記憶の引き出しがあいて新たなエピソードが出てくるかもしれません。

同じ話を繰り返す、人が変わったようになるという点によって、気になるのは認知機能が低下しているのではないかということだと思います。例えばよく自慢話をしていた人が寡黙になるなど、今回の相談と逆のパターンだと心配です。あるいは謙虚だった人が急に怒りっぽくなるといったケースも要注意です。こうした場合は血管性認知症などが疑われるので、一度脳の検査を受けてみるといいと思います。

お父さんは月に一度の家族の集まりのことを、人が変わったように見えるくらいうれしいのでしょうね。これからもぜひ続けてほしいと思います。

【まとめ】謙虚で寡黙だったはずの父が、人が変わったように現役時代の自慢話を繰り返すときには?

  • 謙虚で寡黙というのは、お父さんの一面にしか過ぎないこと、今はお父さん自身がしたい話を素直にできるようになっているということを理解する
  • 父と娘という関係性から対等な関係に変わってきていることをポジティブに受け止める
  • 「お父さん、すごい」と話を聞きつつ、別のエピソードも引き出す

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

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