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バイオテック侍のシリコンバレー日記

診断から1年 2度目のアルツハイマーウォークで感じた私の居場所

当事者家族は黄色のガーデンフラワーなのですが、間違ってオレンジをもらってしまったことに後日、気づきました
当事者家族は黄色のガーデンフラワーなのですが、間違ってオレンジをもらってしまったことに後日、気づきました

“侍”として米国社会に挑む心意気で2001年に渡米し、バイオテック(製薬)企業で新薬開発に努めてきた木下大成さん(56)。カリフォルニア州のシリコンバレーで妻、息子との生活を過ごしてきましたが、数年前から少しずつ見られていた記憶や理解力の低下が顕著になり、2022年10月、若年性アルツハイマー型認知症と診断されました。認知症とともにある人生を歩み始めた木下さんが、日々の出来事をつづります。今回は、昨年に引き続き2度目の参加となったアルツハイマーウォークイベントについてです。

年末年始で忙しく時間が経ってしまいましたが、昨年10月に参加した米国アルツハイマー病協会主催のウォーキングイベント“Walk to End Alzheimer's”について書こうと思います。私たち家族にとっては、前年に続き、2度目の参加となります。

アメリカ全土の600以上のコミュニティーで毎年開催される“Walk to End Alzheimer's”(ウォーク・トゥ・エンド・アルツハイマー)は、アルツハイマー病のケア、支援、研究に対する意識を高め、寄付を呼びかけ支援を募る世界最大のイベントです(Alzheimer's Association HPより)。

今回は、自宅から車で20分少々のところにある、中央に溜池がある大きな公園に集まりました。イベント当日は朝から晴天。カリフォルニアらしい秋晴れの中、参加者やアルツハイマー協会の皆さんは、おそろいの紫色の“Walk to End” Tシャツ姿で集まります。他方、私は、前回の日本帰国の時にDAYS BLG!の前田隆行さんに託された、オレンジのRUN伴(ランとも)Tシャツをしっかりと着こんで、使命を果たして参りました。

まずは、準備体操の時間です。インストラクターがステージに上がってきたので、面白くもない腕回しや屈伸などをこなしていくのだろうと思いきや、序盤から陽気でアップビートのラテンの音楽に合わせたスンバダンス風準備体操で会場は盛り上がりました。

しかし、せいぜいラジオ体操ぐらいしかやったことがない私にとっては、この音楽に乗り切って準備体操しろと言われましても…。盆踊りが関の山です。それでも、苦笑しながら見よう見まねで、体を動かしました。

開会式。皆さん、それぞれのガーデンフラワーを持っています
開会式。皆さん、それぞれのガーデンフラワーを持っています

そうこうしているうちに、開会式が始まりました。参加者たちは、アルツハイマー協会が準備してくれたガーデンフラワーを持って参加します。

色とりどりのガーデンフラワーは、以下を表しています。
青色:認知症当事者のみなさん
黄色:認知症当事者の家族
紫色:認知症で大切な家族をなくされた経験を持つ人
オレンジ:認知症のない社会を目指す働きに賛同し、サポートする人

開会式の広場では、たくさんのアルツハイマー協会の支援者の方に声をかけてもらい、診断から1年経って、私も居場所ができてきたように感じました。毎週木曜に私も参加しているZoom当事者会(オンライン当事者会)を進行する、信頼する担当のジュディさんにも初めて、直接、お目にかかることができました。いつもスクリーン越しにテキパキとポイントをとらえて、ミーティングを上手に進めてくれる切れ者です。また、私たちのエリア(北カリフォルニア・ネバタ支部)のエグゼクティブ・ディレクターのエリザベスさん、ダイバーシティー担当マネジャーのペニングさんにもごあいさつでき、せっかくですので、一緒に記念撮影してもらいました。

北カリフォルニア&北ネバダ支部SEOのエリザベスさん(左)とダイバーシティー部門のマネジャー・ベニングさん(右)
北カリフォルニア&ネバダ支部エグゼクティブ・ディレクターのエリザベス・エッジリー博士(左)とダイバーシティー部門マネジャー・ベニングさん(右)

コースは短いコース1マイル(1.6キロ)と、長い方コース2.5マイル(約4キロ)がありますが、今年も長い方を歩きました。ウォーキング中は、先ほど声をかけていただいたアルツハイマー協会のペニングさんのグループに入れてもらい、私は台湾出身の支援者の方とずっと話しながら歩きました。剣道経験者でジブリファン、私と同年代のその男性は、日本文化にも詳しい、気さくな方で、とても楽しく過ごさせてもらいました。そのおかげか、去年より歩いている時間がずっと短く感じました。

コースの途中、地域の学生さんがメキシンカンダンスやチアリーディングで応援してくれました
コースの途中、地域の学生さんがメキシンカンダンスやチアリーディングで応援してくれました
ゴールしました。楽しい時間をありがとうございます
ゴールしました。楽しい時間をありがとうございます

こういうイベントに参加して、これまでZoomで会ってきた当事者の仲間、アルツハイマー協会の支援者の方に直接会うと、距離をぐっと身近に感じるようになり、大きな安心感となります。自宅に帰ったあと、自分の記憶の中によみがえるのは、参加者の誰もが一体感を持った明るい笑顔をみせていることでした。秋晴れの中、達成感がある有意義な1日を過ごしました。

一番お世話になっている若年性認知症初期グループのディレクター・ジュディさん。病気と戦う気持ちでガッツポーズ!
一番お世話になっている若年性認知症初期グループのディレクター・ジュディさん。病気と戦う気持ちでガッツポーズ!
イベントのあとは、やはり乾杯です
イベントのあとは、やはり乾杯です
スタート前、息子は朝食代わりのおやつに直行
スタート前、息子は朝食代わりのおやつに直行

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