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おやつタイムで知った、横のつながりの大切さ@西尾~BLGの活動報告

おやつタイム
おやつタイム

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、愛知県西尾市にあるBLG西尾(デイサービスセンター「シルヴィー西尾」)からの報告です。

BLG西尾の大村です。
2022年6月に100BLGに加盟をしてから1年が過ぎました。この1年を今、改めて振り返ってみて、BLG西尾が大きく進み出したきっかけをお話しします。

私たちの事業所は、通常規模の通所介護(デイサービス)です。1日30人前後の方が利用され、入浴サービスもおこない、その当時は個別リハビリ(2022年12月で終了しています)も行っていました。
このような事業所に、BLGの考え方を取り入れて、メンバーさんたちの「やりたい」「やってみたい」を実現していくことは、正直、何からおこなっていけばよいのか想像もできない毎日でした。

そんな日々の中で、まず「メンバーさんの声を聞くことが大切」ではないかという意見が挙がり、その時間をどう作ったらよいのかを考え始めました。
BLG研修で得たアドバイスをきっかけに、1日の中で時間が作れそうな場面はおやつの時間から帰るまでの時間がよいのではないか、となりました。

今までは職員が飲み物を作り(インスタントコーヒー、ココア、紅茶、コンブ茶、緑茶から選んでもらっていました)、おやつと一緒に各テーブルに配って、食べ終わったら再び職員が片付けていましたが、その代わりに各テーブルに職員が付き、職員とメンバーさんが「一緒」に飲み物を作り「一緒」に一息つき、メンバーさんの声を聞く時間(おやつタイム)を設けるようにしたのです。

最初は混乱しました。メンバーさんの声を聞く時間として設けたのに、声を聞くどころか飲み物を作ることさえままならなかったのです。

おやつタイムでの飲み物作り
おやつタイムでの飲み物作り

「職員はやってあげることに慣れており、メンバーさんたちはやってもらうことに慣れている」。一緒に飲み物を作るということそれ自体が、違和感でしかありませんでした。
それでもメンバーさんの声を聞く時間を作るため、ついやってあげたくなってしまう職員はぐっとこらえ、メンバーさんたちの持っている力を信じながら、繰り返し飲み物を一緒に作り続けました。

1週間、2週間と続けていく中で、少しずつ変化が現れてきました。テーブルごとに中心となるメンバーさんが出てき始め、気付けば職員が入らなくてもメンバーさんたち同士で助け合いながら、おやつタイムが成り立つ状況が増えていったのです。メンバーさんたちの横のつながりを感じた瞬間でした。

メンバーさんたち自ら作った飲み物で “乾杯”!
メンバーさんたち自ら作った飲み物で“乾杯”!

もちろん、時には飲み物の粉を入れ過ぎたり、入れ間違えてしまったりすることもありましたが、「入れ直したらいいじゃん」「これはこれで、おいしいよ」とお互いをフォローし合えるメンバーさんたちがそこにはいました。
私たちはメンバーさんたちの横のつながりの大切さに気が付き、メンバーさんたちの持っている力を信じることの大切さを感じることができました。おやつタイムを設けたことが、BLG西尾が大きく前へ進みだしたきっかけだったのです。

1年が過ぎましたが、ことあるごとにおやつタイムを開始したときのことを思い出します。これからも“西尾らしさ”を追い求めて、BLG西尾は進み続けます。

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