笑顔の連鎖と、大人の男の娯楽@品川~BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、東京都品川区にあるBLG品川(けめともの家・カンタキ西大井 看護小規模多機能型居宅介護)からの報告です。
ニーハオ!@BLG品川の宇井です。
中国語でごあいさつをしましたが、この夏は品川に色々な来客がありました。
地域の親御さんから「娘が夏休みに家で一人になってしまうから、ここでしばらく手伝わせてほしい」という話があり、娘のYちゃん(小5)は宿題持参で来てくれて、焼きそば作りや駄菓子屋さんをメンバーさんと一緒に元気にやってくれています。ほかに、職業体験で横浜からいらした男性会社員の方もいました。
中国からの留学生で建築家志望の女子大生・Rさんは、「幼・老・食の空間」(保育と高齢者介護を担う小規模複合施設であるBLG品川の建物は医療福祉建築賞2021を受賞)を論文に書きたいとのことで1週間いらっしゃいました。おやつの時間にドーナツと紅茶を囲んでまずは、ごあいさつ。
「こんにちは」「ニーハオ」
「ありがとう」「シエシエ」
「またね」「ツァイチエン」
まったく物怖じもせずに、メンバーさんたちは中国語を教えてもらって話します。ホワイトボードに名前を書いて教え合うなど、どんどん話が広がっていきます。「中国はラーメン、肉まんがおいしいです」「こっちはお刺身がおいしいよ」「“こっち”ってなんですか?」と、質問されると珍回答が返ってくる。日本語を理解するのも大変ななか、Rさんは私に助けを求めてきます(笑)。
Rさんは日本の芸能人だと福山雅治さんが大好きだそうで、Hさんは「ひばりちゃんは歌がうまいのよ」と話してお互い大笑い。笑顔で話せる幸せ感。笑顔が連鎖する幸せな瞬間。大事だなぁ、と感じたおやつ時間でした。
はたして論文にはどう書くのか、超・楽しみ!です。
品川では、ピンポイントで日常的に笑いが起こります。毎年スイカをいただくのですが、メンバーさんがスタッフと一緒に切って園児たちのおやつの分も取り分けながら、必ずつまみ食い。これもご愛嬌。おやつの後は、スタッフも一緒にAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」体操。メンバーさんは椅子に座って、倍テンポでゆっくり一生懸命やります。終わって、Iさんが「ふー、疲れたね」「そうですね、頑張ったよねー」と大爆笑! 本音も言い合える楽しいひとときです。
そして新たに品川では、「想いをカタチに」という観点で素敵なコトがスタートしました!
男性メンバーNさん(69歳)主催の飲み会です。Nさんは、父親の代からのクリーニング店を政界の先生からも受注されるお店にまでした敏腕経営者です。「そこまで行ったコツは?」とお聞きすると「ん〜、相手の気持ちになることかな」と一言。でも、がんが2回も発症し、昨年閉店しました。昔は「よく働き、よく稼ぎ、よく遊んだ」そうです。「こんな風にベッドに横になってテレビなんて見てなかったよなぁ」と、そっとつぶやかれました。
ある日、「ラーメンを食べに行きたい」とおっしゃり、スタッフと近所の日高屋へ。メニューにおつまみがたくさん載っているのを見て、「日頃頑張っているスタッフみんなにビールでもごちそうしたいよ」と言って下さいました。お聞きするとお酒は「1杯だけなら」と主治医から許可が出ており、Nさんは水割りを薄めてとろみをつけ、最近は週に1回飲んでいるそうなのです。
「そうとなったらNさんの思いを実現したい!」とご家族様に相談しました。薄めた水割りで短時間、そして服薬の時間も指定。Nさんと一緒に買い出しに行き、それを聞いたゴルフ仲間がサプライズで来てくれて、仕事の終わったスタッフは私服になり、Nさんの泊まりの日に個室に集合。「スナックN」の開店です!
たくさんの昔話に花が咲き、笑い声も大きく響き盛り上がりました。「ビール、おいしかったです。Nさんごちそう様でしたー」とお礼を言うと「足りなければ財布あるから買ってきなよ」とちょっと赤くなった最高の笑顔で言って下さり、昔もこんな風にみんなにごちそうしていたのでしょうね。
そして次回は、麻雀の話が出ています。「スナックN」に続き「雀荘N」です(笑)。乞うご期待! 今だからこそできる「大人の男の娯楽」。最高ですよね!