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ハタラクを通して@丹南~BLGの活動報告

みんなで前向きに頑張ってまーす
みんなで前向きに頑張ってまーす

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、福井県越前市にあるBLG丹南(福井県民生協 丹南きらめき)からの報告です。

みなさんこんにちは! BLG丹南です。

今年は気温の変化が激しく、「体がついて行かない」などという声が多く聞かれるように感じます。みなさんは体調を崩さず元気に過ごされているでしょうか?

さて、BLG丹南は100BLGの仲間入りをして5年目になりました! 私たちは変わらず地域社会の方々と一緒に悩んだり立ち止まったりしながら、日々前向きに活動しています。

今回ご紹介するのは「スーパーの食材配達」です。これまでにも何度かご紹介していますが、長く続いているオシゴトであり、BLG丹南の代表的な活動のひとつとなっているので、最近の出来事をお伝えしたいと思います(※オシゴトの詳細については以前の記事をご覧ください)。

ある雨の日の昼の会。いつものように活動について話をしていると、「食材配達」の作戦会議が始まります。

雨の日はカッパを着て荷物を運んでおり、時には荷物が濡れないように傘をさすメンバーさんもおられ、普段よりちょっと大変。足元が濡れていて、いつもより慎重に、時間をかけて配達しているんです。

そんなことを考えているのか、なんだかメンバーさんの表情は暗く、いつもの冗談が聞こえてきません。目を合わせるメンバーさんも少ないような…。

「雨降ってるんやろ? 俺はいかんよ」とMさん。

すると
「寒いし外に出たくないわ」
「ほやな、こんな日も年寄りをつかうんか」
「荷物、ここで預かるで取りに来てもらえばいいんや」
とメンバーさんから次々と想いがあふれてきました。

わざわざ雨に濡れたくない、外に出たくない、そう思うのはごく自然なことですよね⁉
正直私も濡れるのは嫌です! きっとみんな同じですよね!
でも、困ったなあ、配達どうしよう…。

そこへ
「行きますよ。(お客さんが)待ってるんでしょ」とOさん。
このひと声で一気に雰囲気が変わりました。

「ほんなら私も行くわ」
「ほやな頼まれたことやし」
「手分けして早くやってまお」

と、そこへ
「行った方がいいなら俺も行ってもいいよ」とMさん。
「みんなでやったら早いしな」
真剣に考え、本音を言い合うことでそれぞれ自分の気持ちが整理できたようです。

結局この日は全員でカッパを着て出かけ、手分けして配達をすることになりました。もしかすると、本当は行きたくなかったメンバーさんもいたかもしれません。でも、「仲間がいるから頑張れる」ってこういうことなんだなぁと改めて思いました。

配達先でお客様にお礼とねぎらいの言葉をかけられ、メンバーさんの表情は晴れ晴れとし、配達を終えるころには、達成感と、満足感でいっぱいになっていました。

時には、配達件数が多く、BLGメンバーだけで配達するのが難しいこともあります。そんな時はスーパーのスタッフに相談し配達をするのですが、今までは頼まれたことを断るようで申し訳ない気持ちでスーパーのスタッフに相談していました。

そんな気持ちが通じたのか、最近は、「大変なら私も手伝うから言ってください」と件数が多い時にはスーパースタッフの方から声をかけられるようになりました。

これをきっかけに、私たちは自分たちで抱え込まず、周りを頼ることの大切さに気付きました。

そしてこの頃から、スーパーのバックヤードで配達の準備や片付けの際に困っているメンバーさんに声をかけるスーパーのスタッフが増え、お互いにオシゴトがしやすいよう提案し合うことが増えました。

この荷物下ろせばいいんやな
この荷物下ろせばいいんやな

改めて振り返ると、「食材の配達」の活動を通して、BLG丹南はメンバーさんが本音を言える場所となり、メンバーさんがお互いの想いを聞いて助け合える「居場所」となっていること、またスーパーのスタッフとも、お互いの想いを伝えあい、オシゴトがしやすいよう提案し合える「仲間」となっていることを実感しています。

さらに、配達先でもお客様と顔見知りになり、私たちの活動の理解者が少しずつ増えていることを本当に嬉しく思っています。

今回は「食材の配達」を例にご紹介しましたが、「ハタラク」を通してもっともっと私たちのことを知ってもらい、地域の一員として、さらにみんなで頑張っていきたいと思います。

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