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室内でいちご狩り@仙台~BLGの活動報告

「あなたもどうぞ」と、いちごをスタッフに勧めてくれました
「あなたもどうぞ」と、いちごをスタッフに勧めてくれました

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、宮城県仙台市にあるBLG仙台(医療法人社団清山会 みはるの杜診療所)からの報告です。

BLG仙台の庄司です。今回は4月に実施した「室内いちご狩りイベント」の報告をします。

みはるの杜診療所がある仙台も雪の季節が終わりかけ、徐々に春の話題が聞かれるようになっていた2月下旬。メンバーもスタッフも少しずつ「春になったらこれがしたい、あれがしたい」という話で盛り上がるようになりました。

そんななか、話題に上がったのが『いちご狩り』です。毎年の定期イベントにもなっていた企画ですが、今年は今までとは違ったイベントになりました。
一般的にいちご狩りというと、屋外でのイベント。外出になるとトイレの心配や、車の乗り降り、屋外移動がネックで遠慮される方も少なくありません。中にはスタッフに迷惑をかけるからと遠慮される方もいます。

皆で楽しめる方法はないかと企画を相談していたところ、あるスタッフからの一言、
「じゃ、ここでやればいいじゃん」
「え? いちご狩りだよ?」
「だから、室内でいちご狩りができる環境を作っちゃおうよ」
「面白そうだねそれ」
そんなやりとりを繰り返し、様々なアイデアが出て企画書が上がってきました。
いちご51パック。練乳たくさん。あとは一緒に楽しみたいという気持ち!!
スタッフから「やっちゃっていいですか?」と聞かれ、
企画書から漂う楽しい予感に「やっちゃおうよ」と私。
イベントの用紙を確認したメンバーからは、「どういうふうにやるの?」「どこかに出かけるの?」と興味津々。もちろん私たちスタッフも初めての試みであるため、「当日のお楽しみです。是非遊びに来て下さい」と半分心配、半分楽しみに返答していました。

当日は一つの部屋をいちご部屋にしました。洗濯ばさみ風のクリップでいちごのへたの部分をつかみ、部屋に巡らせたひもなど、つるせるところを見つけてはつるしました。いちごをつるすのって結構難しいんですね。いちごが部屋中につるされると部屋はいちごの甘酸っぱい香りで満たされました。
メンバーをいちご部屋にお連れすると、「えーっ!! これ飾りじゃないの? すごーい」とつるされているいちごを間近で確認したり、クリップから外していちごを採ったりする姿が印象的でした。「孫も連れてきたかった」とか「たくさん食べてもいいの?」と嬉しそうに話されるメンバーの表情を見たスタッフは大喜び。
「さ~どんどん食べて下さいね~!! まだまだありますから~!!」、「練乳おかわりいかがですか!!」と声に張りも出ます。

部屋のあちこちで、いちごを採ったり食べたり
部屋のあちこちで、いちごを採ったり食べたり
洗濯ばさみ風のクリップでつるされたいちごを、摘み取ります
洗濯ばさみ風のクリップでつるされたいちごを摘み取ります
採ったいちごをそのままパクリ
採ったいちごをそのままパクリ

トイレの心配もいらず、車の乗り降りもありません。もちろん移動の心配もありません。
いつもの季節のイベントも発想を変えるとこんなにもたくさんの方が一同に参加できて、心配や遠慮などの余計な障害が取り除けるのだと気付くことができた瞬間でした。

やりたいこと、行きたいところ、食べたいものがあっても様々な要因であきらめてしまうこともあると思いますが、ちょっと発想を変えてみると意外とできることもあるのかもしれません。

帰り際に「今日はありがとう。とっても楽しかった。またこういうのをやりたいね」とメンバーさんに言われました。
次は何をつるそうかと相談しているBLG仙台のスタッフ達でした。

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