タイムカードはじめました@きのこ~BLGの活動報告

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、岡山県井原市にあるBLGきのこ(在宅複合施設「西部いこいの里」)からの報告です。
皆さんこんにちは。BLGきのこの川崎です。ちょうど3年前に、初めてなかまぁるの記事を執筆させて頂きました。その時に紹介したいちご農家さんでの仕事を、今年も春から夏に向けて継続して取り組んでいます。
有償ボランティアとして、1カ月働いた分の実績を紙でお渡しし、それを確認して農家さんが謝礼を用意する——というのがこれまでの流れでした。毎年共に汗を流し関係性も深まる中で、今年に入り農家さんより、「タイムカードを導入してみました」との連絡がありました。農家さんの事務的効率化はもちろんですが、私たちに対しても「みなさんが少しでも働く実感やモチベーションアップに繋がれば」との温かい言葉もいただきました。
さっそくメンバーさんと向かうと、途中の車内ではタイムカードトークで盛り上がりました。「私は事務職だったから、タイムカードみたら昔を思い出すわ。苦い思い出が……打刻はきちんとしてもらわんと困る!! あんたらじゃなくて私らが困るんだから!!」と、当時を思い出しすぎて言葉に熱がこもるメンバーさんもおられるほどでした。
到着後、
「どこに名前を書くんけー?」
「そこは日付を書くとこじゃろー!」
「打刻はどうすればいいんけ?」と、メンバーさん同士で確認しあいながら記入していきます。初めてのメンバーさんには2回目の方が教えてあげる場面も見られます。毎回出勤時にハウス近くにある事務所のタイムカード前でわちゃわちゃっとなる空間はスクランブル交差点のようで、なんともにぎやかな出勤前の雰囲気となっています。

タイムカードの効果があってか、例年行っているポットの施肥作業も、「今日は何個までできるかな?」と、限られた時間でどこまでできるかと考える方や、時間がきても「きりのいいところまでやらんと気が休まらん」と、納得するまで集中して手を休めない方もおられます。その結果、仕事を終えハウスから事務所に車で移動した際に「疲れすぎて車から降りるのがしんどいから、あんた(職員)がみんなの(退勤時のタイムカード)押してきて!」というのがすっかり恒例となっています。これには農家さんも苦笑いです。

農家さんがメンバーさんの活動や思いをきちんと理解し、タイムカードを通して歩み寄ってくれた結果、これまで以上にメンバーさん一人一人の意思や言動が活動の中に反映されるようになりました。タイムカード導入は、働く実感やモチベーションアップに繋がるだけでなく、メンバーさんが今したいことができているという「自由な時間」を打刻しているようにも感じます。この感覚を忘れずに、今後もメンバーさんそれぞれが持つ活動への思いと地域との繋がりを大切にしていきたいです。
