地域連携、試行錯誤中です@八王子~BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、東京都八王子市にある、BLG八王子(DAYS BLG!はちおうじ)からの報告です。
こんにちは!BLGはちおうじスタッフの谷村です。
メンバーさんの思いを実現させるため、BLG八王子では様々な地域連携に取り組んでいます。
でも、いつも実現というわけではありません。
せっかくなので今回はスタッフの私とメンバーさんとでチャレンジしたものの、実現できなかったケースをご紹介します。
Sさんは元保険代理店の社長さん。外出時は常にカチッとしたワイシャツとパンツにビシッとベルトを締めています。「外で人とお会いする時は、ちゃんとした服装じゃないとだめだからね」
ですが、服を着にくい時があります。
「困ったな、なんで着られないんだろう……」
「ベルトが締まらんなあ・・どうやるんだっけ……」
腕をどちらに通したらいいのか、ベルトをどう締めたらいいのか、ボタンと穴の対応箇所はどこだろうか……。
「もっと着やすい服があればいいのになあ……」
ぽつりと漏らしたその一言。
そこで、何かいい方法はないかとSさんと考え始めました。
思いついたのは地元の多摩美術大学とのコラボレーション。
デザインの力で着やすい服を作ることができないか、相談してみることにしました。
Sさんはもともと油絵を描いたり、写真を撮ったりすることが好きでした。
そのため美術をやっている学生さんたちとのコラボレーションにとっても乗り気です。
すると、いつもおしゃれな洋服を着ているメンバーさんのMさんが話を聞いて「昔は自分で着る服を作っていたのよ。お洋服のことは大好き!」とのこと。
このプロジェクトに協力してくれることになり、一緒に打ち合わせに行きました。
多摩美術大学の職員の方は大変熱心で、打ち合わせは非常に盛り上がりました。
でも、デザイン関連のカタカナ用語が何度か出てくると、途中でSさんが「む、難しい……」と脱落。
その後、Sさんは打ち合わせ中も、うとうと……。
また、打ち合わせを通して、課題が出てきました。
特に課題となったのは、材料提供と費用負担です。大学はデザインの提案はできます。
でも、実際に服を作る際の生地や、製作費を持っていません。
私たちも、もちろん生地や予算があるわけではなく。その部分において別に連携する相手を探さなくてはいけないことがわかりました。
他にも、洋服といっても様々な種類がありますが、どこから始めるかメンバーさんたちの中で決まっておらず、ゴールを何とするかも決め切れていない部分がありました。
その後、私たちも大学側も、つながりのある団体などに相談をしたのですが打開策が見つからず、このプロジェクトはいったん見送りになりました。
メンバーさんの声を受けて動き始めたものの、もう少しメンバーさんとの話し合いを重ね、企画を詰めてから動き出せたらよかったのかもしれないな、と今となっては思います。
また、この企画をご相談した衣料店さんからもアドバイスいただいたのですが、そもそもデザインだけで服の着づらさが解消されるのか、仮説検証も不足していました。
だけども、今回のことをきっかけにつながることができた多摩美術大学さんとは、引き続きこのご縁を大切にしていけたらと思っています。
Sさんも、「また多摩美術大学に行きたいね。なにかできたらいいよね」とのこと。
ちなみに今回の件でちょっと落ち込んでいた私でしたが、Mさんから「まあいいじゃない。好きな洋服のことを話せて楽しかったわ」と言われて、励まされたところです。