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社会参加活動の楽しみ@西尾~BLGの活動報告

値札貼りなどパン販売の事前準備
値札貼りなどパン販売の事前準備

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、 愛知県西尾市にあるBLG西尾(デイサービスセンター「シルヴィー西尾」)からの報告です。

BLG西尾の山本です。
10年に1度の寒気が、日本列島を覆っている今日この頃(1月下旬)ですが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか。BLG西尾では寒さに負けず、メンバーさんが主体となって、様々な活動に取り組んでいます。今回は、社会参加活動の1つとして行っているパンの販売について報告します。

昨年の12月からスタートしたパンの販売は、市内の某人気店のパン屋さんとコラボした企画です。月に2回パンを仕入れて、他事業所で販売するという活動です。最初は、職員(職員もメンバーですが)からの提案でスタートしましたが、メンバーさんを巻き込んで、社会参加(商い?)の楽しみが、BLG西尾全体に広がり始めている感じです。

事前準備の流れ

販売日の1週間ほど前から販売担当のメンバーさんを募集します。最初は、「どうやって売ったらいいのだろう……」、「お金の計算が出来るかな……」など、皆さん不安を口にしますが、職員が丁寧に説明すると、興味津々に。好奇心の方が勝り、毎回3~4人ほどのメンバーさんが名乗りを上げてくれています。販売の案内ポスター作り(販売事業所への掲示も含む)や、値札書き、パンの商品札書きは、手を挙げてくれた販売担当のメンバーさん以外にも手伝ってもらいます。
また、パンを購入していただいたお客様に、何かおまけを付けようということになり、アクリルたわし、毛糸で編んだリボンのヘアゴムなどをメンバーさんが日々の活動の中で作りました。

販売当日の準備

販売日当日は、パン屋さんにパンを取りに行くところから、パンの成分表や値札貼りまで、販売担当のメンバーさんと職員が一緒に行い、販売先に向かいます。
販売先に向かう車中では、「うまくやれるかな……」、「たくさん売れるかな……」という不安な言葉も聞かれますが、皆さん会話が弾みます。

販売場所に到着

販売場所に着いたら、みんなで会場の準備をして、事前に決めた役割(お客様にトレーを渡す接客係、会計係、おまけを渡す係)に従って仕事を開始します。
接客係を担当したあるメンバーさんは、「おねえちゃんかわいいねえ」、「そのメガネかっこいいなあ」なんて呼び掛けて、自然と会話が弾んでいました。普段のデイサービスでは、あまり話されない方なので、びっくりしました。
また、会計係を担当したあるメンバーさんは、電卓を一生懸命たたくのですが、途中で何度も間違えてしまってやり直します。「あんたがやった方が早いよ」と言って涙目になりながら職員を見てきますが、「大丈夫ですよ、頑張って」、「値段を読み上げますね」など、お客様に励まされたり協力してもらいながら、最後までやり切りました。
パンを購入してくれた方へのおまけも、とても好評で、「おまけじゃ、もったいない、ワークショップで売れるんじゃないか」という案も飛び出しています。

完売した記念撮影
完売した記念撮影

販売後

パンの販売が終わった後も、売り切ったらそれで終わりとはなりません。デイサービスに戻った後は、売り上げの計算やパンケースの返却も販売担当のメンバーさんと職員が一緒に行います。

パンの販売日当日は、販売担当のメンバーさんたちは、デイサービスに来てから帰るまで大忙しです。さすがに帰る頃には疲れた表情になっています。しかし、一日の振り返りの時には、仕事をやり切った、ほっとした表情とともに、「楽しかった」、「またやりたい」と満面の笑みです。

これからもメンバーさん達の声を聞きながら、次の展開を考えて行こうと思っていますが、ゆくゆくは市内で開催されるイベントやマルシェなどに出店出来るといいなあと、BLG西尾の想いは広がっています。

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