何げない一言を拾って@きのこ~BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、岡山県井原市にあるBLGきのこ(在宅複合施設「西部いこいの里」)からの報告です。
皆さん、こんにちは。BLGきのこの川崎です。
今年は例年になく早い梅雨明けとなりました。
メンバーさんとともに炎天下に地域に出掛ける活動の際には熱中症のリスクに注意をして、こまめな水分補給や休憩をはさみながら日々の活動を続けています。
BLGきのこのメンバーさんの中には、主に地域に出掛ける役割を担う人と、施設内で個々のペースに合わせて役割を担うメンバーさんがおられます。
これまで、施設の内と外で活動するメンバーさん同士が関わりあう機会が少なく、なかなかつながりがもてないことに職員も悩みを抱えていました。
ある日、地域の方と公園の美化活動をしていたときに、男性メンバーさんから
「水分だけじゃこの暑さはこたえるなー」
「キンキンに冷えた氷でもあれば・・・」
と暑さ対策についての話がありました。
ちょうど同じ時期、施設内で活動する女性メンバーさんが、
「毎日暑いのに外に出て大変ね。何かできることはないかしら?」
と、一言つぶやかれる場面がありました。
そんな何げない会話のやりとりをヒントに、メンバーさんと一緒に考えていく中で、
「外で作業している男性陣に冷やしタオルをプレゼントしてみよう」
ということが決まりました。
女性メンバーさんからは
「暑い中大変じゃろ~、私でよければ力になるよ」
「外には行かれんけど、縫うぐらいならできるよ」
などと声があがり、こころよく冷やしタオル作りを引き受けてくれました。
そうと決まれば、タオルに針と糸を用意して、手際よく裁縫にとりかかる女性メンバーさん。
「昔はよく裁縫しよったけど最近はせんなったな~」
「下手やけどこんな感じでいいんかな~」
など、器用に手先を動かしながらあっという間に人数分の冷やしタオルが完成しました。
そして後日、記念すべき冷やしタオルの贈呈式です。
これから外に出掛けるという時に、サプライズで女性メンバーから男性メンバーへプレゼント。
おまけにキンキンに冷えた保冷剤も入っています。
「いつも暑い中ご苦労様です」
「作ってみたけど、ええようになっとるか分からんよ」
と、少し恥ずかしそうに手渡す女性メンバーさん。
「おぉ~、ええのをありがとう。なんでもできる女性陣がおって頼りになります」
と、いつもは見せない少し照れくさそうな表情で受け取る男性メンバーさん。
まるで青春ドラマのワンシーンのような光景がデイサービスの中で起きた瞬間でした。
メンバーさんが何げなくこぼした言葉を拾い、内と外のメンバーさんがつながるきっかけとなった今回の出来事。
スタッフとのやりとりだけでなく、メンバーさん同士や地域の方との関わりの中でもさりげない思いや気持ちをくみとりながら、これからもよりよい居場所作りを目指していきたいです。