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アンガーマネジメントから始まるケア

怒りを測る イラッとしたら「この怒りは何点だろう」と考える習慣を【アンガーマネジメントから始まるケア(3)】

みなさんは、日ごろどのようなことに怒っていますか?

自分が怒りを感じたときにその怒りを客観的に見られるようになれると、対処法の判断に役立ちます。その一つが、怒りを数値化する「スケールテクニック」です。怒りの測り方について、横浜市立大学医学部看護学科講師の田辺有理子さんと一緒に考えてみましょう。(なかまぁる編集部)

怒った瞬間、怒りを10段階で評価してみよう

同じ出来事に遭遇しても、怒る人もいれば、怒らない人もいます。怒りのスイッチは人それぞれです。また、「怒っている」と「怒っていない」という二つの段階しかないと思っている人もいますが、怒りには段階や強さがあります。怒りと一言で言い表しても、激しく怒る人もいれば、少しイラっとする程度の人もいます。

自分の怒りへの対処への準備として、怒りを具体的、客観的に数値化する方法を練習しましょう。怒ったとき、その怒りに点数をつけます。怒っていない穏やかな状態を0、人生最大の怒りを10とします。

レベル0:怒っていない穏やかな状態

レベル1~3:軽いイライラ、不快感

レベル4~6:まあまあ強い怒り

レベル7~9:とても強い怒り、激怒。コントロールできる限界

レベル10:人生最大の怒り

この点数に厳密な基準はなく、主観的に「この前の出来事は5点だったから、その時に比べたら今回の出来事は3ぐらいかな」という程度です。イラッとしたら「この怒りは何点だろう」と考えましょう。

夜勤明けで疲れて寝ているとき、夫から「夕食は?」と起こされたら

アンガーマネジメントでは、怒りを数値化する方法を「スケールテクニック」といいます。怒ったら点数をつける、それだけです。続けていくうちに、怒りを客観的に捉えられるようになります。「怒っている」と「怒っていない」の2種類しかない人も、怒った状態が「ムカつく」と「マジムカつく」の2段階しかない人も、点数をつけていくうちに、怒りの強さに段階があることが分かってきます。

例えば、3日前に人生最大10点の出来事があったという看護師の怒りを聞いてみたら、「夜勤明けで疲れて寝ていたら、仕事から帰ってきた夫に『夕食は?』 と起こされた」ことがきっかっけでした。

冷静に考えてみれば、この出来事はその人の人生において最大ではありません。

介護施設で働く人も、在宅で介護をされている人も、医療や介護、福祉の専門職でない人でも、このような経験ありませんか?

Getty Images

怒ったときの行動や身体の変化も一つの指標

このように怒りのスイッチが入ったとたんに、メーターが振り切れて怒りが爆発してしまう人がいます。白と黒との両極端に捉えてしまうのかもしれませんが、白と黒との間にはグレーがあります。もっと言えば、白と黒との間にはたくさんの色があります。軽くイラッとする程度の怒りから激しい怒りまで、その幅があることを意識して練習すれば中間の点数をつけられるようになります。 

怒ったときの行動や身体の変化も一つの指標になります。

例えば、「一時的にイラッとしても、冷静に対応できる」ときはレベル13、「チッと舌打ちしてしまった」ときは4、「相手を怒鳴りつけてしまった」ときは6、「血圧が上がっている気がする」「仕事が手につかない」ときは8ぐらいという感じです。自分の言動や身体の反応を分析してみると、点数のつけ方が安定してきます。

怒りの段階で対処法を決めておこう

怒りを客観的に分析できると、対処法の判断にも役立ちます。

  • 軽くイラッとする程度ならやり過ごせる
  • 中程度なら職場で表情や態度に出てしまうかもしれないから注意しよう
  • 強い怒りで抑えられそうにない。爆発する前に一度離れた場所に移動してクールダウンしよう

このように対処法を決めておくことができます。 

カチンときたら間髪入れずに怒鳴ってしまうような人は「何点だろう?」と考えるだけでも怒りをクールダウンすることができます。怒りに振り回されて、売り言葉に買い言葉の不適切な発言や表情や態度に出てしまうなどの失敗を防ぐことができます。

点数化は自分の怒りを客観視するため

職場の同僚や身近な人と、怒ったときに点数をつける方法を共通認識にしておけば、怒っている人がいたときに「いま何点?」と聞いたり聞かれたりするだけ、怒りの渦中から少し離れて客観的に捉えられます。それに仲間がいると、楽しみながら怒りに点数をつけ、客観的に怒りの程度を伝えられるようになります。

あなたのその怒りは何点ですか?

次回は、「怒りをメモしよう」をテーマに考えていきます。

◇参考:安藤俊介著「アンガーマネジメント入門」(朝日文庫)

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田辺有理子(たなべ ゆりこ)
横浜市立大学医学部看護学科講師
精神看護専門看護師、保健師、精神保健福祉士、公認心理師
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会アンガーマネジメントファシリテーター(R)
看護師として大学病院勤務を経て、2006年より大学教員として看護教育に携わり、2013年より現職。医療・介護・福祉分野を中心に、介護ストレス、虐待防止などに関して、アンガーマネジメントやメンタルヘルスなどの研修、情報発信を行っている。
単著「イライラとうまく付き合う介護職になる! アンガーマネジメントのすすめ」(中央法規出版,2016)、「イライラと賢くつきあい活気ある職場をつくる 介護リーダーのためのアンガーマネジメント活用法」(第一法規,2017)、「ナースのためのアンガーマネジメント 怒りに支配されない自分をつくる7つの視点」(メヂカルフレンド社,2018)、「怒った人に振り回されない自分をつくる ナースのためのアンガーマネジメント2」(メヂカルフレンド社,2022)、共著「精神に病をもつ人の看取り:その人らしさを支える手がかり」(精神看護出版,2021)、雑誌「介護人財」(日総研出版)で2021年5月から「ゆりこ先生のちょっとこころを軽くする話」を連載中。

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