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こんにちは!BLG通信持ってきました!@八王子~BLGの活動報告

誌面会議
誌面会議

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、東京都八王子市にあるBLG八王子(DAYS BLG!はちおうじ)からの報告です。

こんにちは!BLG八王子スタッフの谷村です。
今回は、メンバーさんたちがだいたい毎月発行している「DAYS BLG!はちおうじ通信」についてご紹介します。

「よーし!8号ができたぞ!」
この日はひときわ大きな声が響きました。
彼は編集長のHさん。もちろんBLG八王子に毎週来ているメンバーさんです。
一般的に介護施設の通信は、職員さんが作成して家族に配布しているかと思います。
ですが、BLG八王子では、メンバーさんたちが構成を考え、取材し、記事も書きます。

BLG通信8月号
BLG通信8号

Hさんは以前お仕事でフリーペーパー作りに関わっており、好きなパソコンに触れる機会を作りたいという想いを持っていました。それがケアプランにも盛り込まれており、BLG八王子に来た時に、実際に通信を作ってみるという目標を立てることになりました。

「取材を通して仲間とより深い関係になることができる。あと、私も最初にこんなに面白いデイサービスがあるのか!って思ったんですよね。それをたくさんの人に知ってもらって、新しい仲間が増えたり、地域など新たなつながりができたりすればいいなと思っています」とHさん。

実はこれまで、編集長とアシスタントの私の2人体制だったのですが、8号からは新たに2人のメンバーさんが仲間に加わり4人体制となりました。
新たに加わったAさんとMさんはお二人とも読書が大好きでよく図書館に通われていたとのこと。
「こんな記事もあったらいいんじゃないか」
「そもそも通信の背景色は変えた方が見やすいよね」
仲間が増えるといろいろな視点で意見が出て、どんどんレベルアップしていきます。

Aさんは、認知症になってからも図書館を使い続けたいという想いを持っています。ですが、手に取った本を戻しにくかったり、どこにどんなコーナーがあるか分かりにくくなったりと、まだまだ使いづらい現状があります。そこでいま、八王子市内の図書館が誰にとっても使いやすい図書館にしようというプロジェクトが進んでいます。Aさんが中心となって、図書館や包括支援センターなどと話し合いをしながら取り組んでいます。
そのことについて紹介するコラムをAさんが担当することにもなりました。
「なんか、こういうのいいよね」
「ここもっと変えてみようかな」
楽しそうな表情で文章を考えるAさんでした。

さて、完成したBLG通信は200部ほど印刷しています。
「え、200部って、多くない?」って思った方はいませんか?
実は、家族以外にも、市役所や図書館、地域包括支援センター、日頃からお世話になっている商店など様々なところに通信を置かせてもらっています。

もちろん配達もメンバーさんたちが行います。
Yさんはお名前が近現代史に登場した偉人と同姓同名であることもあり、知名度抜群。
みんなを惹(ひ)きつける不思議な力を持った方です。
Yさんが「持ってきたよ~」と顔を出すと、
「Yさんが来てくれた!」
「Yさん元気だったー?」
どこにいっても人だかりができる人気者です。

営業中のYさん
営業中のYさん

すると、一緒にまわっていたNさんが、「新しい仲間を紹介してほしいです!」と地域包括支援センターの職員さんにお願いしています。
メンバーさんの卒業などで仲間が少なくなってしまった時は、メンバーさん自ら営業するなんてこともあるんです。

メンバーさん自身で、BLG八王子をつくり、地域とつながり、発信している。
自分たちの過ごす環境は自分たちでつくる。デイサービスも、地域も。
そして、自分たちのことは自分たちが一番よく知っている。だから自ら発信する。
当たり前のことを当たり前にやっている。メンバーさんたちと一緒に活動していてそんな意識が伝わってきます。

さて、外回りの活動から帰ってきたところ、さきほどのHさんが机に向かってなにやら考え込んでいます。
「うーん、来月号は何書こうかな?」
配達隊が8号を配っている間に、すでに編集長の頭の中では次回号の構想が始まっていたのでした。

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