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今後のコロナワクチンどうする?(前編)個人の思い、価値観の違いが露呈

新聞、Getty Images

新型コロナウイルスが流行して3度目の夏。緩やかな減少傾向が続いていた感染者数が急増し、ついに第7波に。そんな中で感染防止、経済対策、個人の日常から国の施策まで、さまざまな意見や思いが錯綜しています。5月になかまぁる編集部が実施した「新型コロナワクチンに関するアンケート」の回答者に、新型コロナワクチンに対する思いをインタビュー。肯定か否定か、どちらとも言い難くモヤモヤしているか、いろいろと聞いてみました。
※「新型コロナワクチンに関するアンケート」回答結果はこちら

親友でも踏み込めないワクチンに対する価値観

福岡県在住の藤本悦子さん(仮名、48)は、同い年の夫、長男(17)、長女(14)の4人家族。公的に勧められる予防接種に対しては基本、肯定派。「ワクチンで病気が予防できるなら」という考えで、乳幼児期の予防接種は任意のものも含め全て、毎年のインフルエンザワクチンも家族全員で受けていました。

新型コロナウイルスが蔓延した当初もワクチンの完成を心待ちにしましたが、いざ接種が始まると、なぜか躊躇があったといいます。

「アラフィフの私もすぐに打とうと思ったのですが、その時にはリスクや副反応の情報があふれ、家族それぞれのかかりつけ医の意見も微妙に割れていて、あんなに切望していたのに急に迷い始めてしまいました」

実は藤本さんの実父(72)も、最初は「ワクチン絶対拒否」だったそう。コロナ禍に携帯電話をスマホに変え、ネットが身近になり、情報に振り回されたのがきっかけでした。

「『ワクチン+副反応』で検索するからそういう情報ばかり出てくるわけです(笑)。でも父は高血圧など基礎疾患もあるので、ネット情報のしくみも含めて説得し、なんとか両親4人とも3回目まで打ってもらいました」

自身の迷いが払拭されたのは、相談した医師のこんな言葉――「みんながどうするか様子見している人も多いけれど、その間のリスクやストレスも大きい。接種しないと決めたのではないなら早く打ったほうがいい」。

そして藤本さんは夫とともに3回目まで接種。子どもたちは2回目まで終わりましたが、感染状況とリスクを考え合わせ、3回目は接種させない方針だといいます。

コロナワクチンを巡っては、健康に対する信条や医療への信頼など、普段は表に出ない価値観の違いも浮き彫りにしました。遠方に住む藤本さんの友人は強硬な反ワクチン派で、新型コロナの予防や治療効果が話題になっている国内未承認の治療薬を個人輸入して使っているそう。

「彼女の考えも否定はできない。考えると私自身の選択も正解なのかわからなくなる。彼女とはとても仲良しで、これからも関係は変わらないけれど、ワクチンの話はできないんですよね」と、戸惑いも吐露してくれました。

亡くなる人を地球規模で減らすためワクチンを発展途上国に

新型コロナウイルスが流行し始めた時、岩手県在住の野口美優さん(仮名、31)は「自分も感染したくないけれど、それ以上に人に感染させたくない」という思いが強かったといいます。ワクチンの感染予防効果はさほど期待できないとも言われているけれど、それでも1、2回目のワクチンは最低限の免疫を獲得するために必要と理解し、納得して接種。幸い、今のところ感染は免れています。

「私の住む地域は田舎で、都市部に比べれば人と接触する機会も少ない。でもそれだけに、万一感染したら『どうせ遊んでいたんでしょ』『こんな時期にリスクのある行動をとるなんて』といったバッシングが怖かったというのもあります。よくも悪くも田舎なんです」と野口さん。

60代の母親の勤め先では、「感染したら辞めてもらう」といったことも言われたそう。新型コロナウイルスは感染以外にも、見えないところでさまざまなハラスメントによるストレスも生み出しました。

2回のワクチン接種で一定の安心を得た野口さんですが、世界に目をやればまだまだワクチンが行き渡っていない現実に違和感と罪悪感があり、3回目は打つ気になれないといいます。

「世界中に(ワクチンを)打てていない人がたくさんいる。そちらへの支援が疎かなのも変異株出現の原因なのでは? 先進国で3回、4回と打つ前にワクチンを途上国に回すのを優先すべきだと思います。ひとりが打たないと言い張ったところで集団接種の廃棄分が増えるだけかもしれないけれど、自分なりの抵抗です」

1年遅れのワクチン接種 もっと安全性に関する情報を!

東京都在住の古川誠さん(仮名、74)は、70歳のときに接種した肺炎球菌ワクチンでアナフィラキシーショックを起こし、全身に及ぶ発疹やかゆみ、呼吸不全などの症状に見舞われました。症状が出たのは接種した7~8時間後。そんな苦い経験から、昨年始まった新型コロナウイルスワクチンは接種を控えていました。

「当初、ワクチンの成分を調べると、肺炎球菌ワクチンと共通するものが含まれていて怖いなと思ったんです。厚生労働省の電話相談窓口でも強いアレルギーのある人に接種した場合のデータはないというし、相談した医者にも『安全なものが出るまで感染防止に努めなさい』と言われました」

世の中がワクチンの予約や接種で騒然とする中、古川さんは手洗い、うがいはもちろん、人混みに行かない、電車やバスにも乗らないなどの対策をひたすら励行したと言います。そして今年4月、ファイザー社やモデルナ社のワクチンとは仕組みが違い、副反応の頻度が低いとされるノババックス社のワクチンが薬事承認。医師に相談のうえ、さっそく予約して接種、約3週間後に2回目の接種を行いました。

「接種会場では接種後15~30分の待機時間でしたが、私はお願いして1時間待機させてもらいました。2回目の接種後にかゆみが出ましたが、想定の範囲内で収まりましたのでひと安心。3回目は今年の年末頃ですが、ぜひ打ちたいと思っています」

新型コロナワクチンに対しては肯定的な考えながら、接種前の経験から地道な感染防止策の徹底の効果も絶大だという古川さん。
「テレビなどでは『接種しましょう』ということばかり聞こえてきますが、行政にもマスメディアにも、アナフィラキシー経験者や重度のアレルギー持ちなど少数弱者に対する配慮や情報提供をもっと丁寧にしてほしいですね」

※ 後編に続きます

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