認知症とともにあるウェブメディア

みんなが心開いて「素」になれる場所 

僕は僕でいい!君は君でいい!@丹南~BLGの活動報告

キーボードを使って文章を作成中
キーボードを使って文章を作成中

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、福井県越前市にあるBLG丹南(福井県民生協 丹南きらめき)からの報告です。

こんにちは。BLG丹南の平井です。
BLG丹南は今年で3年目に入りました。
今回は、活動の中で、やりたいことが見つかったメンバーさんのエピソードをご紹介したいと思います。

BLG丹南では、定期的にマガジンを発刊しています。
メンバーさんとの活動や会話の中で「BLGを知ってもらいたい」「こんなことを感じているんだということを知ってもらうにはどうしたらいいんだろう?」という話になりました。
そうしたことから、このマガジンを、メンバーさんと一緒に作り始めたのです。
メンバーさんや家族のほか、地域で関わる方々や行政などに配布しています。

マガジン作成に承諾頂き、下書きから始められたメンバーさん
マガジン作成に承諾頂き、下書きから始められたメンバーさん

スタッフが、今回号のマガジン作りを始めたときのことです。

メンバーさんからもアイデアをもらって一緒に作ろうと考えていると、
頭の中に、穏やかにほほ笑むメンバーさんの顔が……。
適任なメンバーさんがいる!男性メンバーのSさん!!
Sさんは、日常的にもの忘れが多くなっていることは自覚しており、大事なことを忘れないようにと、いつも手帳やメモ帳を持ち歩き、記録しています。
そして、文章を書くのが好きで、自分で創作し短編小説や詩、童話などを書くことを趣味としていました。
スタッフから「是非読みたいです!」とお願いして、それらの作品を読ませてもらったことがありました。
Sさんらしい、優しい文章で、心が温かくなるような作品ばかりでした。

早速Sさんに、「マガジン作り、一緒にやってみませんか?」と提案してみると、
「僕、やりたい!文章とか書くの好きやで!」と笑顔で快諾してくださいました。
「Sさんが今感じている想いを好きに書いてほしいです!」とお願いしました。

「パソコンで打ちたいな」と言うSさん。
キーボードを前に、「久しぶりやで、打てるかな?」と口にするも、ローマ字入力もバッチリ!
「なんか、思い出してきた。」と言いながら、キーボードをたたいていました。

作成したコラムを、他のメンバーさんにも読んでもらい、感想をもらっています
作成したコラムを、他のメンバーさんにも読んでもらい、感想をもらっています

完成した文章は、Sさんのこれまでの想い、今の想いがつづられたものでした。
マガジンだけではもったいない!
このSさんの想いをもっとたくさんの人たちに読んでほしいと思いました。
そこで、最後に、Sさんのコラムをご紹介したいと思います!

僕は僕でいい!君は君でいい!
私がここへ来るようになったのはいつ頃だろうか・・。
わたしは若いころ長い事県庁に勤めていました。
しかしそこは毎日毎日の残業に疲れはて、ノイローゼ気味になり、
とうとう自主退職してしまいました。
それ以来ずっと家に閉じこもるようになりました。
それがきっかけでBLGに来るようになりました。
BLGとは何をするところだろうか・・・・
最初は不安な気持ちでいましたが、それは間違いでした。
ここは自分が思っていたところとはまったく違うところでした。
ここには自由があります!
ここには夢があります!
自分自身の事を思い悩んでいるひまはありませんでした。
私でもできる仕事があるんだ。
それが1番、うれしかった!
それはおつかいさんという仕事でした。
そうか!ここで僕も働けるんだ!
それから私は元気になりました。
BLGに来て、本当によかったと思っています。
ペンネーム:S.勇一
Sさんのやりがいになっている「おつかいさん」での一コマ
Sさんのやりがいになっている「おつかいさん」での一コマ

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

認知症とともにあるウェブメディア