人様のためなら喜んで作ります!!@品川~BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、東京都品川区にあるBLG品川(けめともの家・カンタキ西大井 看護小規模多機能型居宅介護)からの報告です。
はじめまして。東京のBLG!品川の宇井です。
BLG品川は、女性のメンバーさんが多く、活動のひとつに裁縫や編み物などがあります。
5月に92歳になられたAさん。ご主人とともに長年、50人の社員を抱える会社を営まれ、その会社の経理をやってこられました。とても几帳面な性格です。
「暇つぶしにやったら……」と娘さんが選んでくださったという刺し子の図案が描かれたふきんを持参して毎日縫っています。あざやかな刺繍(ししゅう)がほどこされたふきんの出来栄えは見事なものです!
ところで、BLG品川は、同じ建物内の同じフロアに保育園(けめともの家・キッズ西大井)があり、とてもにぎやかです。
毎朝、園児たちが「おはよう」とあいさつをしに来てくれます。そのときのメンバーさんたちの満面の笑みといったら、言葉では表せられません!
ある2歳の男児は、おばあちゃんの笑った時の顔のシワが気になるようで、指でそのシワを不思議そうになぞってみるなどしてほほ笑ましい!
他にも大きな声で「おばあちゃん、だーい好き!」と告げて照れる子もいます。
泣いている子がいれば、メンバーさんが「どうしたんだろう」と心配してあやしたり、遊んだり……。
BLG品川には、子どもとのふれ合いが日常にあるのです。
あるとき「今年の卒園式で、卒園児に何かプレゼントをしたいね」という話題になりました。
すると、メンバーさんから「Aさんの素敵な刺し子ふきんはどうだろう」と提案がありました。
Aさんに早速お話したところ「あの可愛い子どもたちのためなら喜んで作ります!」と即答!
他の女性メンバーさんたちにも協力してもらい、子ども用に、ハート、星、ヨット、クジラ、アイスクリームなどの絵柄を選んで縫ってもらいました。
卒園式当日、プレゼンターをやってくれるという女性メンバーさんがいて、直接、園児のみなさんに手渡しが出来て、お互いに大喜び!
その後、5月の母の日には、園児からお手製のカーネーションをひとりひとりのメンバーさんがもらいました!年齢差約90歳?!
また、BLG品川では、第3日曜日を開放し、地域の方との交流の場として「けめカフェ」という毎回色々なカタチでの多世代交流カフェをやっています。
地域の様々な年齢層の方がお茶をしながら話をしにいらっしゃいます。
ここでも、「刺し子ふきんを販売してみては?」という案が出たので、Aさんにまた相談してみました。
「あら、こんなものでいいのかしら?でも人様が使うのなら、しっかりと縫わなくちゃ!」と目をキラキラ輝かしてうれしそうに話してくれました。
「手間賃も入れたらいくら?」「刺し子コースターもいいのでは?」など、他のメンバーさんたちも熱が入ります。
「けめカフェ」は毎月開催するので、今後どんな商品がカフェに華を添えてくれるのか楽しみです。
暇つぶしにと娘さんが勧めてくれた刺し子ふきん作りが、Aさんにとって「人様のために縫う!作る!」という新たな展開をスタートさせました。
その結果、Aさんの会話にも手さばきにも活気が出てきています。
そこには、win-win(ウィンウィン=双方にメリットがある)の関係が生まれています。
Aさんのやる気が達成感へと至り、カフェの活気や買う側の喜び、それを見守ったスタッフの幸せ感へとつながっています。
笑顔って……。
相手に伝わり、相手の笑顔もまた自分に伝わり、ニコニコニコ。
みんなでいっしょに毎日ワハハ笑っていきたいな……とほっこり想うのでした。