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ミミズクワーク@仙台~BLGの活動報告

なかまぁるは、それぞれの「私」が、自分らしく生き続けていくための情報をお届けします。BLGの連載コラム「ミミズクワーク@仙台~BLGの活動報告」です
定期的な段ボールの回収

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、仙台市にあるBLG仙台(医療法人社団清山会 みはるの杜診療所)からの報告です。

こんにちは、BLG仙台の鹿嶋です。
BLG仙台は、診療所、カフェ、デイケア、ショートステイなどが併設した複合型施設です。
運営する清山会医療福祉グループでは、メンバーの声に耳を傾け、その方との対話を重ねながら挑戦したいことや送りたい生活を応援することを大切にしています。病気や障がいがあっても、高齢になっても、これまで歩んだ人生において、築き上げてきた関係性が途切れることなく「人と人とのつながり・人と街とのつながり・人と自然とのつながり」をメンバーと共有、大切にしながら、活躍することを応援できればと思っています。

そうした中でおこなっている「はたらく」活動やその他の取り組みについて、いくつかご紹介したいと思います。下記の三つの取り組みを、BLG仙台では、「ミミズクワーク」と呼んでいます。なお、ミミズクの絵は、清山会医療福祉グループのロゴとして使用されているのですが、これは「銀河鉄道の夜」や「注文の多い料理店」で知られる宮沢賢治が生前に描いたもので、賢治にゆかりある岩手県花巻市の林風舎様のご理解をいただき、使わせていただいています。

1つ目は段ボール回収です。メンバーが、法人内にある他事業所で出る段ボールを定期的に回収し、買い取り業者まで運搬しています。運搬時の運転手は事業所のスタッフではありますが、その他回収、当日の業者やり取りはメンバーさんがおこなっています。1回の回収での金額は数百円程度ですが、メンバー同士で「今日はいくらになるかな。」と予想しながら作業に取り組むことが1つ楽しみになっています。

みはる農園で

2つ目はみはる農園です。仙台市宮城野区岡田新浜にある体験農園の1画をお借りし今年4月よりスタートしました。農家だった方や家庭菜園をしていた方、今までは無縁だったけれどせっかくだから挑戦したいとの声から始まりました。
何を植えたいか、用具や整備はどのようにしていけばよいか、資金はどうするか1つひとつ話し合いながら取り組んでいます。
「畑なんて20年ぶりだ。久しぶりだな。鍬(くわ)の使い方忘れちゃった。」
と照れ臭そうに笑うAさん。しかし、身体はしっかり覚えておりテキパキと畝(うね)を整備してくださいました。収穫した野菜をどのようにするか、今から期待でいっぱいです。子どもたちに振る舞おうか!!そんな言葉もありました。

3つ目は働き方の多様化です。
ボランティアとして活動したい。
地域に出て活躍する有償ボランティアを行いたい。
労働契約を結んで働きたい。
実際に労働契約を結んで併設デイケアで当事者雇用として実就労としている方もいます。他にも週2回来所する中で1回はメンバーとして、もう1回はスタッフとして来る方もいます。
今までの経験を活かしながら働く方、マニュアルなどを1からスタッフと作成して新しい業務に取り組む方など、1人ひとり違う「はたらく」の形があります。

その他の取り組みとして、本人ミーティングに取り組んでいます。
本人ミーティングでは、「はたらく」に取り組まれているメンバーさんと職員が話し合いを行い、活動内容などを決めたり、意見交換を行ったりします。
例えば段ボール回収で得たお金の使い道やミミズクワークをどのように地域へ発信するかなど、メンバーとスタッフが話し合い、方針を決めています。
実際に段ボール回収で得たお金の使い道として、
「地域の独居高齢者宅に見守りを兼ねて何か送るのはどうか」
との意見もあがり、地域包括支援センターと意見交換をおこないました。

デイケアでの活動の一コマ。メンバーさんが得意のピアノの演奏をされています

最近では、地域のNPO法人の方とサロン活動を一緒に企画するなどし、一般企業の方や学生や子どもたち、普段接する機会の少ない業種や地域の方々とのつながりも増えてきました。
一見するとミスマッチな組み合わせに見える業種でも、情報交換をおこなう中で実は互いに補い合える点があったり、新しい視点を発見できたりもします。
認知症や何らかの障がいを抱える方の「はたらく」に取り組んでいく中で、改めて人と人とのつながり・人と街とのつながり・人と自然とのつながりこそ、誰もが安心して暮らすことのできる社会につながるのではないかと思います。

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