2年目のミツバツツジ
なかまぁる編集部
こんにちは、若年性認知症当事者のさとうみきです。
春のお花見ウィーク。
DAYS BLG! はちおうじ(以下、BLG! はちおうじ)のメンバーさんと相談をして、
曜日ごとに、桜の花見などをしながら散歩を楽しむことになりました。
わたしが出勤した日は、お天気も良く
午前中はポスティングと洗車活動に分かれて活動。
午後からは桜もだいぶ散ったため、
ミツバツツジが満開だという今熊神社(八王子市内)の散策チームと、
以前からゴルフ練習場を訪れたいと言っていたメンバーさんの想いに応えて、
ゴルフ練習場チームに分かれました。
わたしはミツバツツジ散策チームに参加。
昨年もメンバーさんと訪れたはずなのですが……。
何となく去年の感覚はあるものの思い出せません……。
しかし、活動を決める際に
ミツバツツジがどんな場所にあるかがわからないメンバーさんのために
スマホに1年前の写真があることをふと思い出し、
探してみるとすぐに見つかりました。
メンバーさんにこんなきれいな場所なんですよ!
そんなことを、写真をお見せしながら説明するものの、
自分の記憶はあまり残っていませんでした。
しかし、その写真には楽しそうに写っているわたしとメンバーさんの姿がありました。
そして、車での移動中、車窓からは見覚えある風景が見えました。
確かめるかのように「この辺りに来たことありますか?」
運転して下さっているスタッフに話をすると
「この道はよく使うからね〜」との返事でした。
そして、今熊神社に到着すると
目に飛び込んできたのは、きれいな濃いピンク色のミツバツツジ!
まだ咲いている桜とのピンクのグラデーションは何とも言えない景色。
メンバーさんと訪れるのは2回目、2年目のミツバツツジ。
去年の写真と違うことは…
コロナ禍で、視空間認知機能に低下が見られたメンバーさんが、お二人卒業されました。
やはり長引くコロナでのマスク生活は、視空間認知機能が低下したご本人にとって、
想像を超える生活の難しさがあり、そして認知症の進行が見られたのです。
ご本人もご家族も精いっぱい、頑張っておられました。
さらに、この春はツラく、寂しいお別れが重なりました。
以前にも、この連載で書かせて頂いたことがあるメンバーさんが、
大変なときを何度も何度も乗り越えられた後に、お亡くなりになりました。
お別れの日、絶対に駆けつけたい。
スタッフとメンバーさんと一緒にと思いつつも、
同じ当事者として、はじめましての頃からのおつきあいだったメンバーさんだっただけに、
「会いに行ってお別れを……」と思う気持ちが強くありながらも、
怖さから、一度はお別れの場の近くまで足を運んでいたわたしですが、
自宅に引き返してしまいました。
お別れは心の中で。
奥さまから昨年、スタッフ宛てにお手紙を頂き、読ませて頂きました。
そこには、わたしのこの連載を読んでいて下さっているとの言葉と、
認知症の夫を持つ人の気持ちが書き記されていました。
奥さまにもごあいさつをしたいと思っておりましたが……。
メンバーさんは、いつまでも、わたしたちの心の中で生き続けています。
今年、一緒にミツバツツジを見たメンバーさん!
来年も再来年もまた、一緒にミツバツツジを、お互いにはじめて見たかのように感動すればいい!
一緒に見に行きましょう。
そして、わたしたちが見た今年のミツバツツジの感動が
卒業されたメンバーさんにも届きますように。