認知症とともにあるウェブメディア

まとめて作り置きレシピ 遠距離介護の冷凍おかず

遠距離介護のあなたへ 料理家考案のまとめて作り置きレシピ「酢豚」編

やわらか酢豚

介護で気がかりなことのひとつ、食事のサポート。別居していると、ことさら気を遣うのではないでしょうか。遠方に住む父親のため、月に1度の作り置きを実践している料理家の金子文恵さんに、そのアイデアとコツを教えていただきました。初回は、1回で15食分が作れる買い出しリストつき。レシピは全8回で公開します。

※ 料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護職ではありません

ひとり暮らしをしている認知症の父の遠距離介護を私がはじめたのは、2017年の1月。あっという間に今年で6年目になりました。

介護当初からしているのが、ごはんとみそ汁しか作らなくなった父の栄養バランスを考えた「冷凍おかず作り」です。遠距離に住む私は1カ月に1度しか父の元に行けないので、帰るたびに冷凍庫におかずを詰め込んできます。

しかし、作りはじめた当初は失敗もありました。主菜と副菜をそれぞれ1食分ずつ、小分け冷凍していたのですが、なかなか思うように食べてくれません。どうやったら食べてくれるのかと試行錯誤して、主菜と副菜を詰め合わせた「おかずセット」を作ってみたところ、よく食べてくれるようになりました。父にとって、自分でおかずを組み合わせるということが、煩雑に感じていたようです。そこを省いたことで選びやすくなり、食べるようになったのだと思います。

一方、料理の作り手の悩みは、どう買い物をして作るかということ。私は食材をリストにして、なるべくすべて使い切れるように料理を考えています。そこで今回は、みなさんがわかりやすいように、買い物リストを作りました。おかずセットや丼のようなひと皿料理など、主菜15食+α(副菜)の冷凍おかずが作れます。調味料以外の生鮮食品は使い切れるので、余ってしまってどうしよう……ということはありません。

食べてもらう際は、温めムラが少ないよう、冷蔵庫で解凍してから電子レンジにかけるのがおすすめです。

【目次】

◆全8回のメニュー
◆買い物リスト(15食分)
◆第1回「やわらか酢豚」のレシピ
◆保存のポイント

主菜/酢豚、牛丼、つくね、ドライカレー、焼き鮭
副菜/切り干し大根炒り煮、ホウレンソウのあえ物、蒸しカボチャ(それぞれ2味)

※商品は一例

◆買い物リスト(15食分)

金子文恵さん

15食分のお買い物を一度にすませます。お買い物は、使う分だけ買うようにしましょう。塩昆布やかつおぶし、チューブのショウガやニンニクは保存期間が長いのでおすすめです。また、かつおぶしは小袋に分かれているものを買うと、鮮度が保たれます

豚しゃぶしゃぶ肉(240g)・・・・酢豚
牛切り落とし肉(270g)・・・・・・牛丼
鶏ひき肉(300g)・・・・・・・・・つくね
牛豚合い挽き肉(200g)・・・・・・ドライカレー
塩鮭(3切れ)・・・・・・・・・・焼き鮭
タマネギ(2個)・・・・・・・・・・酢豚、牛丼、ドライカレー
長ネギ(1本)・・・・・・・・・・・つくね、焼き鮭
ニンジン(1本)・・・・・・・・・・ドライカレー、切り干し大根炒り煮(1)(2)
赤パプリカ(1個)・・・・・・・・・酢豚
冷凍インゲン(1袋200g)・・・・ 牛丼、つくね、ドライカレー
冷凍ホウレンソウ(1袋200g)・・ ホウレンソウのあえ物(1)(2)
冷凍カボチャ(1袋300g)・・・ ・・蒸しカボチャ(1)(2)
切り干し大根(1袋40g)・・・・・切り干し大根炒り煮(1)(2)
油揚げ(2枚)・・・・・・・・・・・牛丼、切り干し大根炒り煮(1)(2)
なめ茸(1瓶120g)・・・・・・・・ つくね
粉豆腐(1袋)・・・・・・・・ ・・ つくね
甘酒(1本200ml)・・・・・・・  焼き鮭
おろしショウガ(チューブ1本)・・・酢豚、牛丼、つくね、ドライカレー
おろしニンニク(チューブ1本)・・  ドライカレー
塩昆布(1袋)・・・・・・・・・・  ホウレンソウのあえ物(1)
かつおぶし(1袋)・・・・・・・・  ホウレンソウのあえ物(2)

※ この他、マヨネーズ・ケチャップ・ウスターソース・カレー粉・砂糖・塩・しょうゆ・みりん・酒・酢・ごま油・バター・小麦粉・片栗粉を使用

◆第1回「やわらか酢豚」のレシピ

金子文恵さん

やわらかく食べやすいように仕上げた酢豚です。薄いしゃぶしゃぶの肉に下味をつけて丸めると軟らかく仕上がり、かたまり肉を食べている満足感を得られます。揚げずに多めの油で炒めて作る、お手軽レシピです

材料(3食分)

豚肉(しゃぶしゃぶ用)   270g
赤パプリカ         1個
タマネギ          1/2個
酒             小さじ1
しょうゆ          小さじ1
片栗粉           大さじ1
油             大さじ2

- 甘酢あん(A)
 おろしショウガ      小さじ1/4
 トマトケチャップ     大さじ2
 しょうゆ         大さじ2
 砂糖           大さじ2
 酢            大さじ2
 片栗粉          小さじ2
 塩            ひとつまみ
 水            100ml

酒と醤油を揉み込んだ豚肉を丸める

作り方

  1. 豚肉に酒としょうゆを揉み込み、9等分にして丸め、まわりに片栗粉をまぶす。赤パプリカとタマネギはひと口大に切る。Aの材料を混ぜ合わせておく
  2. フライパンに油を熱し、中火で肉のまわりを焼く。表面が焼き固まったら、赤パプリカとタマネギを加えて、しんなりするまで炒める
  3. フライパンの余計な油をキッチンペーパーで拭き取る。2で炒めた材料に、合わせておいたAをよく混ぜて加え、5分ほど煮る

温め時間の目安(1食分)

酢豚のみ……冷蔵庫解凍(12時間)後、1分30秒〜2分
酢豚と副菜2種の詰め合わせ……冷蔵庫解凍(24時間)後、2分30秒〜3分
※ 電子レンジ(600w)使用

金子文恵さん

冷蔵庫で解凍するのには時間がかかるので、食べたら翌日のおかずを冷蔵庫に移動させることをルーチンにするのがおすすめです

◆保存のポイント

  • 1つのセットに主菜と副菜をあらかじめ組み合わせて保存します。「どのメニューをどう組み合わせて食べるべきか」と食べる人に選んでもらう必要がなく、バランスよく食事をとってもらうことができます
  • おかずを必ず冷ましてから、詰めます
  • 冷凍おかずを皿などに移し替えなくてもいいように、冷凍・電子レンジ使用可能な容器を使います。繰り返し使える密閉容器などでもよいですが、使い捨て容器は洗う手間が省けるので手軽です。また、副菜などは、おかずカップを使うときれいに入れられます
  • 冷凍庫で保存するときは、同じ料理をまとめて入れるのではなく、ランダムに並べて入れます。上から順に取っていくと、毎日違う料理を食べてもらえるのでおすすめです
冷凍・電子レンジ使用可能な、蓋付き容器が便利 ※商品は一例
冷凍・電子レンジ使用可能な、蓋付き容器が保存に便利 ※商品は一例

保存方法
おかずカップに1食分ずつ詰め、出来上がったおかずを冷ます。主菜+副菜2個を詰め合わせて保存
余った副菜の保存方法
余った副菜は、朝ごはんや昼ごはんの一品として食べられるように、保存容器にまとめて入れて冷凍保存
金子文恵さん

主菜と副菜を組み合わせは、彩りを考えながら詰めると栄養バランスもよくなります。主菜を書いてふたにシールを貼ると、なにが入っているかわかりやすのでおすすめです

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

認知症とともにあるウェブメディア