認知症とともにあるウェブメディア

欽筆~どこまで書くの!

欽ちゃんセルフコラボ!世の中にたった20枚しかない貴重品 欽筆4

欽ちゃんこと萩本欽一さんが、自ら考えた格言や生き方のコツを筆でしたためます。何時間も、ときには何日もかけて書き上げるという味わい深く温かい欽ちゃん直筆の書を、短いインタビューと合わせてお届けします。

萩本欽一さんの毛筆による作品「欽ちゃんの言葉」

年をとって 明日会う人がいる それ一番 幸せなことだ

年をとるとだんだん友達が減って寂しくなるし、人と会うのも面倒臭くなって、つい一人で過ごしがちになるでしょ? そこで旅行に行くのが楽しいか、温泉に行くのが楽しいのかって考えてみたんだけど、どれもドキッとしなかったの。そしたらこの前、3日間家にいた次の日に仕事で人に会いに行く用事があってさ。ふと「あした会う人がいるって幸せだな」って思ったの。どうしてかっていうと言葉が返ってくるから。
そう考えると、年をとったら何でもかんでも家に持ってきてもらうばかりじゃなく、自分から商店街に行って買い物をして、店の人と会話をするのが大事だね。それ以外、何の幸せがあるのかと思うよ。「大丈夫?」とか「体の調子はどうだい?」なんて言われたら、最高だよ。友達がいるかどうかなんて関係ない。お店で何か買って、そこのオヤジと会話すればいいんだもの。「今日はあのおっさんといい会話ができたな」っていうだけで幸せな気持ちになれるもん。
だからね、今日は幸せな日よ? こうやって取材だって言って、朝日新聞の人たちが僕と話しに来てくれてさ。幸せってこういうこと。

それから今回ね、どうしても思ったような字が書けなくて、よく書けた部分だけ切り貼りしたの。以前「一筆書いてください」って頼まれた時に、納得のいくように書けなかったもんで切り貼りしてみたら、案外よかったのね。で、それ以来、たまにこんなふうにしてるの。僕の一筆書きで切り貼りしたやつって、この世にせいぜい20枚くらいしかないから、けっこう貴重よ、これ(笑)。

「切り貼りしたやつ、けっこう貴重よ」
「切り貼りしたやつ、けっこう貴重よ」

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

認知症とともにあるウェブメディア