欽筆~どこまで書くの!

欽ちゃんの理想的な人生「四季のようなコメディアンになりたい」欽筆10

欽ちゃんこと萩本欽一さんが、自ら考えた格言や生き方のコツを筆でしたためます。何時間も、ときには何日もかけて書き上げるという味わい深く温かい欽ちゃん直筆の書を、短いインタビューと合わせてお届けします。

萩本欽一さんの毛筆による作品「欽ちゃんの言葉」

「四季の中で一番好きなのは?」春! 秋! とかすぐ答えるのに 「どれ嫌い?」の質問にはすぐ答えが返ってこない 日本の四季って偉いね

みんな「好きな季節は何?」って聞くと、「俺は秋だね」とか「春がいいわね」とかサッと説明してくれるの。でも「じゃあどの季節が嫌い?」って聞くと、「え、嫌い? 嫌いってほどの季節はないなあ。夏は暑いから苦手だけど、嫌いってわけじゃないしなあ」って歯切れが悪くなるのね。それは北海道とか寒い地域の人も同じで、「まあ冬は寒いったって毎年くるもんはしょうがねえしなあ」って、嫌いとは言わない。そう考えると四季って素敵だよね。こんなに嫌われない人生をわたしも送りたい。四季のようなコメディアンになりたいね。
実は、僕に四季の良さを気づかせてくれたのはハワイの友達なの。彼はハワイの気候が好きで移住したんだけど、あるとき「日本に帰りたい」って戻ってきたのね。「どうしたの?」って聞いたら「一年中あったかいのは呆ける」って言うのよ。ハワイで「前回おまえに会ったの、いつだったっけ?」って聞かれるとわからないんだって。日本だと「年が明けてずいぶんたって厚手のコートを着てたから、ありゃ2月だな」といった感じでパッとひらめくんだけど、ハワイは一年中アロハシャツだからって言ってさ。確かに人間の記憶って、周囲の状況や着ていた服なんかと結びついているもんね。
で、彼は「こんな素敵な日本をなんで去ったんだろう」って戻って来たんだって。「これから年取ってますます呆けるのに」って(笑)。そう考えると、ちょっと呆けそうだなって人は、できるだけたくさんの景色を見て、思い出を作っておくといいかもね。それをとっかかりに、記憶がよみがえることもあるかもしれないよ?

欽ちゃん「四季のようなコメディアンになりたいね」
欽ちゃん「四季のようなコメディアンになりたいね」

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