走り廻る会場巻き込む 欽ちゃんの血が騒ぐ? あるある探検隊の活動報告18
構成/福光恵 写真/レギュラーのマネジャー
「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま介護施設をまわっています。テレビや劇場の一般客相手と違って、施設の利用者さんたちを笑顔にするのは、やっぱり難しい! そんな2人が見つけた、今日の介護現場の“あるある”は――。
ここは介護施設……ではなく、レギュラーの2人の本業、東京・新宿の「ルミネtheよしもと」の舞台。「あるある探検隊」など定番ネタを絡めながら会場をひとしきり盛り上げたあと、20代を中心に若い女子が多い客席に向かって、ステージから松本くんが声をかける。
「ついにディズニーキャラクターのものまねを完成させました! リクエストがある人は、手を挙げてくださーい」
と、突然のフリに会場の挙手はまばら。
「あれえ? ディズニーはどこでも大人気だと聞いたんだけどなあ。あ、じゃあ、そこの女の子!」
選ばれたのは、小学生くらいの女の子。そこに西川くんが優しく語りかける。
「松本くんが、あなたの好きなディズニーキャラのマネをしますよ。なにがいいかな?」
「うーん、エルサ!」
リクエストは、言わずと知れたディズニーの大ヒット映画「アナと雪の女王」のヒロイン。いやいや、その見た目でプリンセスのモノマネはないだろ!と、会場がどっと盛り上がる。
「あーー、エルサってなんでしたっけね。いやいや、やっぱりドナルドダックがいいんじゃないですかね」
そんなこんなで観客を巻き込みながら、しかも、“意外にうまい”ドナルドダックのものまねで会場の爆笑をかっさらう松本くんだった。
松本くん 振り返ってみると、僕らが介護レクリエーションでやっていることで、本業の舞台でも応用できることはたくさんあるよね。たとえば、西川くんがマイクを持って舞台から観客席に降りて、あちこち走り回ることがあるやんか。あれなんか、まさにそれや。
西川くん 最初にやったのは、介護関係の講演会やったね。講演会ではいつも、僕らの介護レクリエーションを実際に体験してもらうんだけど、あのときはやたら広い会場でね。
松本くん 観客はたくさんいるのに、鉄板ネタの「満腹アヒル」(唇を指でアヒルのように引っ張りながら、食べ物の名前を言ってもらい、それを当てるゲーム)をやっても、会場がイマイチ盛り上がらない。なかなか積極的に参加してくれるような雰囲気にならない。で、なんでやろうと考えたんだけど……。
西川くん 客席の手を挙げた人のところに運営スタッフがマイクを持っていくという、よくある“記者会見方式”やったんやね。じゃあ、僕らが介護施設でやるように、自分らでマイクを持って会場を動き回ったらどうかとやってみたら、これだけで会場の雰囲気が大きく変わったんだな。
松本くん 西川くんの体を張った活躍も大きいね。僕が「はい、次は反対側の端っこで手が挙がってますよー」とあおって、マイクを持った西川くんを会場の右へ左へと走り回らせる。で、西川くんがバタバタと振り回されればされるほど、盛り上がる仕組みや(笑)。
西川くん 僕が「どんだけ走らせるんですか……ハーハー」と息を切らせると、またウケる。でも、それだけじゃないんだな。観客の近くに行って顔を近づけるほど、いろんな話を引き出せるというのも、介護施設で学んだことやね。顔を見て、小さな声も拾っていくことが会場の一体感につながるってことや。
松本くん そういえば、テレビ番組で一般の観客を登場させて笑いをつくるスタイルを確立したのは、あの萩本欽一さんだって聞いたことがあるな。
西川くん 欽ちゃんか! じゃあ僕らも、介護レクリエーション仕込みの“欽ちゃんチルドレン”やんか。
松本くん いやいや、ものすごく薄い系譜やけどな……。
あと、客席にお子さんがいたら助けてもらうというのも、介護レクリエーションでの経験の応用やね。前にも言ったけど、子どもは介護レクリエーションの宝やんか。入居者さんやスタッフさんの家族のお子さんが参加してくれたら、もうこっちのもの。ゲームでも、お子さんは活発に手を挙げてくれるし、受け答えもかわいらしくて確実にウケる。だから、逆に会場に子どもさんがいないときは頭真っ白になるなあ。
西川くん 実際にこの間のルミネのステージでも、平日で大人のほうが多かった公演で、やっと子どもを見つけたと思って話しかけたら、恥ずかしがってまったく答えてくれへんかったもんな。別の現場の時は、しょうがないから大人に話を振って、とんでもない空気になったしなぁ〜。
松本くん 西川くん、あんとき声かけた人は完全な酔っ払いやったで……。
なんにせよ、ほんま、板の上に立って漫才してただけでは気がつかないことも、たくさん介護から学ばせてもらっているな。さあ、2020年も張り切っていきますよー!
西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!
(編集協力/ Power News 編集部)