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認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

母の生きる希望を思い出す ゆず香る海鮮丼 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

思い出の海鮮丼

フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。生きる希望にあふれた母と歩いた江ノ島の思い出に、ゆずの香をのせて。

※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません

2016年の正月のこと。2日の夜に、ゆっくりした時間ができ、母に年頭の目標を聞いてみると、「元気でいたい」「おいしく食べたい」「歩きたい」「お金をおろしたい」「友達と会いたい」と5つの目標を挙げてくれた。この中でも「元気でいたい」が圧倒的に上位で、「たくさん歩いてお腹を空かせておいしく食べたい」とも話してくれた。「お金をおろさないと友達に会えないから」と、母なりの優先順位も教えてくれた。
3日は朝から春のような陽射しで風もなかったので、母と江ノ島に出かけることにした。タクシーと電車を乗り継ぎ、横浜の実家から小1時間で江ノ島駅へ。
「たくさん歩きたい」という目標を掲げてくれたものの、母の脚力では江ノ島を全部歩いて回るのは難しいので、江ノ島弁天橋の途中から遊覧船に乗り、ショートカットして稚児ヶ淵へ。そこは昔から母が好きな場所だったので、連れて行ってあげたかった。遊覧船に感謝しなくちゃ。階段で見晴らしのいい茶屋まで上がり、おでんと刺身の盛り合わせを注文し、早めの昼ごはんにした。正月ということで、いくらのしょうゆ漬けがサービスで付いてきたのはラッキーだった。
翌年の正月も江ノ島に連れていきたいと思っていたが、老人ホームに入居することになってしまった。江ノ島に行くたびに、生きる希望にあふれた母の年頭の目標を思い出す。

思い出の海鮮丼

母と外食するときは、デイサービスでは提供されない刺身の盛り合わせをよく注文していました。母の刺身はごはんにのせて即席の海鮮丼に仕立ててあげると喜んでくれました。海鮮丼のごはんを、ほんのり柚子の香りをきかせたごはんにアレンジして紹介します。

材料 2人分

まぐろの刺身 6切れ
たいの刺身 3切れ
いくらのしょうゆ漬け 適量
大葉 2枚
温かいごはん 300g
ゆずの皮(せん切り) 2g
ゆずの搾り汁 大さじ2
塩 少々
しょうゆ 少々
わさび 適量

作り方

  1. 温かいごはんにゆずの皮、ゆずの搾り汁、塩を混ぜ入れてゆずごはんを作る
  2. 器に1を盛り、大葉を敷き、角切りにしたまぐろ、たいをのせ、いくらのしょうゆ漬けを添える
  3. しょうゆに、お好みでわさびを溶きまぜ、かけて食べる

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