年齢も障害も問わない、古着活用のユニバーサル農業を紹介 近畿大チーム
「ユニバーサル農業による農業福祉協同モデルの確立」
ユニバーサル農業とは、老若男女、障害の有無に関わらず誰もが参加できることを目指した、軽量な古着等の繊維で作ったポリエステル媒地を利用することで作業負担の軽減を目指す農法。一般的な土壌と異なり、長期間にわたり物理性や化学性が変化しないので、栽培法のマニュアル化による安定生産が可能となる。高齢化などによる人手不足の農業界に、体力の低下した人でも可能なこの農法を取り入れた農業と福祉を合わせたモデルを紹介した。
認知症は世界的な課題だと体感できた
嶋村育海(しまむら・いくみ)
23歳/近畿大学卒業後、農業と福祉を連携した会社「O-LIFE」を設立。副代表。
近畿大の先輩と2人で2018年11月に合同会社「O-LIFE」を設立しました。O-LIFEのOは、農園がある場所の追分のOと、認知症のテーマカラーのオレンジのOから取っています。認知症を一つのテーマにしている追分で、自分たちや地域の人も含めて、全ての人が暮らしやすい社会、生活、人生(LIFE)を考える。それを追分で創造するという思いを込めてこの社名にしました。
目標は農業と福祉の連携を推進する地域共生社会の実現です。老若男女、障害の有無に関わらず誰もが簡単にできるユニバーサル農法を用いて、ハーブや機能性野菜、医療用野菜(低リン・低カリウム野菜)の生産・加工・販売を行っています。
プレゼンテーションのパワーポイントの作成は私が担当することになって、正直、苦労しました。農学というジャンルの発表になるので、あまり専門的になり過ぎないよう、シンプルに伝わるように写真も選びました。英語が苦手なので、原稿を作っては手直しの連続で、当日は飛行機の出発2時間前までパワーポイントと向き合っていました(笑)。その結果、荷造りを全くしていなかったので、最後の30分で着替えやパスポートをカバンに詰め込んで出発するハメになりました。今回のプレゼンのパートナーの岡田さんに、飛行機やバスのことなどは任せっきりでしたが、これもチームプレイかなと割り切りました。岡田さんに感謝です。
会議では英語が上手く聞き取れませんでした。2日間たくさんのプログラムを見学しましたが、発表者の話は正直よく理解できませんでした。それでもショッピングモールでのデイケアの活動や認知症に対するアプローチなど、海外での認知症対策に直接触れることができました。日本ではいつも介護現場で活動しているので、認知症は世界的な課題だと体感できたことは自分にとってとても大きな収穫でした。
ユニバーサル農法が確立されれば、日本だけでなく世界中にインパクトが与えられると感じました。これを使って認知症の人に就労の場を提供するための、組織や事業の体制作りを行っていきたいと思います。それと英語が上手くなって、自分たちの活動を世界に伝え、私たちが学ぶ範囲も広げていくことができればと思いました。
現地の食事療法や香りによる治癒効果の研究や実践に興味
岡田尚大(おかだ・しょうた) 26歳
もともと参加する予定だった「O-LIFE」代表の吉本さんに変わって、急きょ参加することになりました。実は出発までボクがクアラルンプール(KL)に行っていいのか悩みました。いつも嶋村さんや吉本さんの仕事を手伝っていますが、自分は「O-LIFE」の立ち上げメンバーではありません。それに飛行機は苦手なので、事故があったらどうしよとか思うと、余計に不安になりました(笑)。
KLに到着してから、不安は別のことで的中しました。英語です……。聞き取りと会話が出来ませんでした。さらに現地の食事にも慣れず困りました。全体的にスパイシーな味付けでお腹がヒリヒリ……。それでもクアラルンプールの街の風景や人々の姿に刺激を受けました。
会場はホテルの会議場で、そこには様々な国や地域の参加者がいて、想像をはるかに越えていました。日本語は全く聞こえません。でもそれが新鮮でした。正直言うと、英語だけじゃなくて日本語、韓国語、中国語の通訳が欲しかったです! それでも時間が経つと英語以外の言語も少し理解できるようになって、アジア各国の言語を理解したいと強く思うようになりました。
KL滞在中は、ショッピングモールでのデイケアの取り組みを見学することができました。グループホームで働いている私としては、現地の介護現場を見学したかったです。どんなケアや介護が行われているのか非常に気になります。また認知症の人や病気の人に対して、食事療法や香りによる治癒効果の研究や実践もあると聞きました。せっかくの機会だったので、現場視察があればよかったかなと思います。
今回は新たな経験がたくさんできて感謝です。帰国してまた仲間と一緒に、ユニバーサル農法の確立にむけて邁進していきます!
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