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LiLiCoさん絶賛の最優秀賞 笑って泣ける14分映画 なかまぁるSFC授賞式

第1回なかまぁるShort Film Contest授賞式&トークセッション(集合写真)

「第1回なかまぁるShort Film Contest授賞式&トークセッション」が、10月7日に浜離宮朝日小ホール(東京都中央区)で開催された。

本コンテストは、ウェブメディア「なかまぁる」と短編映画の総合ブランドSHORTSHORTSのコラボレーションにより生まれた、日本初の「認知症」をテーマにしたショートフィルムの公募プロジェクトだ。

ゲストに迎えたのは、映画コメンテーターのLiLiCoさん、丹野智文さん(「おれんじドア」実行委員会代表/なかまぁる特別プロデューサー)、そして映画『カメラを止めるな』の怪演で記憶に新しいどんぐりさん、映像ディレクターの加藤マニさん。授賞式ではフリーアナウンサーの町亞聖さんが、イベント後半のトークセッションでは、なかまぁるの冨岡史穂編集長がそれぞれ司会を務めた。

町亞聖さん

笑いにも涙にも、優しさ溢れる4作品

会場には、学生から高齢の方まで幅広い年齢層の参加者が集まった。当日は最終候補3作品と特別上映作品の4作が上映され、その中から丹野智文特別賞、ミュージックビデオ特別賞、優秀賞、最優秀賞の発表と授与が行われた。

『The Right Combination』
栄えある《最優秀賞》は、坂部敬史監督の『The Right Combination』に贈られた。

坂部敬史監督さんとLiLiCoさん

一人暮らしをするおじいさんの家に、若い泥棒が忍び込むが、おじいさんは泥棒を自分の息子と思い込み……。ふとした会話で笑いを誘いつつも、「記憶」について観る者に問いかける作品。坂部監督は「過去が消えてしまうことと、過去は消せないということ。これを掛け合わせたらどうなるかに興味があった」と制作当時を振り返る。

坂部敬史監督

冨岡編集長は、映像の中の認知症の男性が、苦労や工夫を重ねながらも当たり前に自立した生活をしている点に着目。「まさに認知症フレンドリーな世界です!」と称賛した。LiLiCoさんは「映画に必要な要素がすべて入っています。15分以下に収めつつ、泥棒とおじいさん両方の家族が見え、色々な想像もでき、笑えて号泣できてしまう」と絶賛。「もう……! 世界に羽ばたいて!」と熱いエールを送っていた。

『英爺』
《優秀賞》を受賞したのは、小野光洋監督の短編映画『英爺』。

小野光洋監督とLiLoCoさん

大学生のチカが、誰もいない公園で英語の授業をするおじいさんと出会うところから物語が始まる。小野監督は「認知症の家族をもつ方や介護職の方に話を聞くと、ネガティブな話題が8~9割を占める。だからこそこの映画では、ネガティブな面にはあえて触れず、どうコミュニケーションをとるかを作品の根っこにしました」と語った。

小野光洋監督

プレゼンターのLiLiCoさんは「優しさに溢れた作品。その優しさが短い時間の中で表現されている」とコメントした。

『介護しよう。MV feat. おばあちゃん』
《丹野智文特別賞》には、川端真央監督作品『介護しよう。MV feat.おばあちゃん』が選ばれた。現役介護士ラップユニット「QOL」が、メンバーの1人show-kの実の祖母と登場するミュージックビデオだ。川端監督は、本作が初めての映像作品だという。

川端真央監督と丹野智文さん

特別賞を受け「世間的に介護士は重労働で大変な仕事というイメージがあります。そんな中、ラップユニットQOLのお二方は、その仕事を人生として楽しんでいる。その姿に影響を受け、MVを撮ろうと思いました」と話した。

川端真央監督

丹野さんは、映像から伝わってくる「おばあちゃんとラッパーの2人の普段からの信頼関係、介護の専門職としてのおばあちゃんの状態の正確な見極め、そして歌詞から受け取れる『手助けは最低限に、本人の思いを尊重しよう』『若い人も今から自分事として考えようよ』といったメッセージ性」を評価したと明かした。

『愛のカタチ』
さらに特別上映作品『愛のカタチ』には、ミュージックビデオ特別賞が贈られた。

加藤マニさんと冨岡史穂編集長

加藤マニ監督は、「認知症だった祖父母がぼんやりと寝ていた時、どんな夢をみているのだろう。現実では会えない人に会えていたらいいなと思っていた」という経験から着想を得たと語った。

加藤マニさん
どんぐりさん

主演のどんぐりさんは、本作が初めてのミュージックビデオ出演となる。「海蔵さんの歌を聞きぜひ出たいと思いました。まずは家族が、認知症を受け入れてあげることが大切なのでは」と作品への思いを語りつつ、「自分のセーラー服姿を、イベントに参加した皆で見るのは恥ずかしかった」とこぼし会場を和ませた。

加藤マニさんとどんぐりさん

上映会では、時に会場が笑いに揺れ、時にそこかしこで涙をぬぐう姿が見られた。そしていずれの作品にも、大きな拍手が送られた。

「ショートフィルム×認知症」のトークセッション

丹野智文さん、LiLiCoさん、冨岡史穂編集長

トークセッションでは、ショートフィルムに詳しいLiLiCoさんが「ショートフィルムには、短くまとめるために削るからこそストレートにテーマが刺さる強さがある」と解説した。その魅力に触れた丹野さんは、「映像を作れる人の力を借りながら、認知症当事者が自分目線の短編映画を作れないだろうか。例えば『人の顔がわからなくなる』ことも、当事者の目線で伝えられたら楽しい作品にできるのでは」と提案した。

丹野智文さんとLiLiCoさん
丹野智文さん

冨岡編集長はこれに大きく頷き「認知症での出来事を笑いにするのは、センシティブで難しいところもありますが、当事者だからこそ面白く語れることもたくさんあるでしょうね」と水を向けると丹野さんは、スマホゲームにまつわる実体験をさらりと披露し、さっそく会場の爆笑をさらっていた。

冨岡史穂編集長

3人は、認知症の人の「できないことではなく、できること」に着目し、「何をしてあげよう」ではなく「認知症の人と一緒に何をしようか」という姿勢の重要性を再認識。その上でLiLiCoさんは、自身が育ったスウェーデンでの経験から、コミュニケーションとしてハグしたり、実際に触れたりすることを、日本でも気軽に取り入れてみてほしいと語った。

最後は冨岡編集長が「ショートフィルムを通し、感動したり、笑ったり、発見があったり。認知症に関する新しいイメージをみなさんと発見できるコンテストにしていきたい」と締めくくった。

閉会後、「映画が好き」をきっかけに来場したご夫婦は「最優秀賞の映像は、長編映画をみているようでした。認知症の歌は聞いたことはありませんでした。しかもそれを明るく歌っていた『愛のカタチ』が心に残りました」と感想を語った。

また、若年性認知症の当事者に話を聞いているという大学4年生の女性は「丹野さんが、自立についてお話されていたのが印象的でした。介護する・されるだけでなく、ご自身がどう生きるかを、作品を通して見てみたい」と話した。

第1回なかまぁるShort Film Contest

主催:なかまぁる編集部
協賛:SOMPOホールディングス/東急イーライフデザイン
協力:パシフィックボイス
後援:厚生労働省/認知症フレンドシップクラブ/認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ/ 日本認知症本人ワーキンググループ/認知症の人と家族の会/日本意思決定支援推進機構/ 認知症未来共創ハブ/日本在宅介護協会

LiLiCo(リリコ)
スウェーデン・ストックホルム生まれ。スウェーデン人の父と、旅行中に出会った日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「王様のブランチ」の映画コーナーを担当し、テレビ・ラジオやイベント・トークショーにも多数出演。アニメの声優やナレーション、女優として映画やドラマ にも出演するなどマルチに活躍する映画コメンテーター。

丹野 智文(たんの・ともふみ)
1974年、宮城県生まれ。「おれんじドア」実行委員会代表、なかまぁる特別プロデューサー。自動車販売会社で働いていた39歳のとき、若年性認知症と診断された。衝撃や不安に苦しんだが、生き生きと笑顔で暮らす認知症の「先輩」たちと知り合い、希望を取り戻す。地元で「おれんじドア-ご本人のためのもの忘れ総合相談窓口-」を立ち上げる一方、「日本認知症本人ワーキンググループ」などにも参加。認知症の人たちの笑顔を増やすために国内外を飛び回る。

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