光子さんの夏 花火が咲く空 父とつないだ手 見送った兵隊さん
《介護施設で働く漫画家、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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認知症の光子さんは、まるで昨日のことのように、それを話す。
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戦争が始まる前に、お父様に連れられて見た花火大会。繋いだ手の、ぬくもりのこと。……でもなぜかその話にはいつも、同じ話が続く。
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「空を見ると、見送った優しい兵隊さんたちが浮かぶの」光子さんの空は、あの日のまま。
戦後74年、と言われても、正直なところ、
私にはピンときません。
ただ、実際に戦争を体験された方から当時のお話を伺うと、
平和のありがたみさえ忘れている私でも、
恥ずかしながら響くものがあるのです。
今年もまた、8月6日、8月9日、8月15日と、
日本の夏がやってきました。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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