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認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

足の裏に水ぶくれを作って帰還した翌朝のカレー 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。不安から安堵へ。カレーの心地よい香りが、心を穏やかに整えます。

※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません

豚肉とトマトのカレー

8月のある日、私の不在時に母が朝から外出したまま帰宅しないことがあった。近所の人も手分けして探してくれたが、見つからない。どこまで行ってしまったのだろう。お財布は持って出かけたようだが、飲み物を買えるだろうか。
陽が明るいうちは、ケロっとした顔で帰ってくるのではないかという根拠のない期待を抱いていたのだが、時間の経過とともに、ケガをしたか、脱水で倒れているかもしれないという悪い想像が膨らんできて警察に届けた。夜になり、近所の人がコンビニエンスストアのおにぎりやお菓子を差し入れてくれ、非常事態の色が濃くなる。
結局、母は翌日の深夜1時ごろに帰宅した。足の裏全体に水ぶくれができていたので、だいぶ外を歩き回っていたのだろうか。ほかに外傷はなく経口補水液を一気に飲んだ。無事でよかった!
曖昧な話から想像すると、どなたかが母に声をかけ、タクシーに乗せてくれ、自分で住所を言って料金を支払って帰ってきたようだ。領収書がなく、母が夏の1日をどのように過ごしていたのか、これ以上のことはわからない。
翌朝、母は昨日の出来事をすっかり忘れていた。私も気持ちを切り替えたくて、朝から母が好きなカレーを作った。

豚肉とトマトのカレー

豚肉、トマト、玉ねぎ、3つの材料で手早くできるカレーです。市販のカレールウを1かけだけ使うと、コクがあるのに、さらっと軽い朝食向きの味に。玉ねぎはみじん切りにせず、薄切りを炒めて調理時間を短縮します。

材料 2人分

豚こま切れ肉 160g
トマト 1個
玉ねぎ 1/2個
カレールウ 1かけ
にんにく 1かけ
赤唐辛子 1/2本
サラダ油 小さじ2
みそ 小さじ1/2
温かいごはん 140g程度
ピンクペッパー あれば

作り方

  1. トマトをざく切りに、玉ねぎは薄切りにする。にんにくは包丁の腹でつぶす
  2. フライパンにサラダ油とにんにく、赤唐辛子を入れて熱し、香りが出てきたら玉ねぎをしんなりするまで中火で炒める
  3. トマトを加えて炒め、水分が飛んだら豚肉も入れて中火で炒める。肉にほぼ火が通ったら水を360ml注ぎ入れる。沸騰してから5分ほど煮て火を止める
  4. 肉にほぼ火が通ったら水を360ml注ぎ、沸騰してから5分ほど煮て火を止める
  5. カレールウを加えて溶かした後で再び火をつけ、みそを混ぜ入れて1分ほど煮て火を止める
    ※盛り付け時に、あればピンクペッパーを散らすときれいです

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