認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

死んだ娘が盛るごはん 夏のホラーと愛情丼 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。ご飯が炊けるまでの豊かなひととき。夕食前に会話を楽しむゆとりが生まれるメニューです。

※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません

あじとピーマンの丼物

夕食の下準備ができ、あとはごはんが炊き上がるのを待つだけ。私もひと息つき、母が穏やかなときは「私に何か質問してみて」とお願いしていた。不穏なときは話がまったく通じなくなるので、会話ができるだけでうれしかった。

母によく質問されたのはこの3つ。

「小学生のときはどんな子どもでしたか?」

「お母さんはどんな人ですか?」

「何色が好きですか?」

私が娘だということはすっかり忘れ友達のような存在になっていたので、質問の「お母さん」とは自分のことではない。「お母さんは真面目な人です」と答え、私から「娘さんはどんな人ですか?」と質問すると、「娘は2人いましたが、死にました」と返ってくる。初めてその答えを聞いたときには驚いてすぐ妹にLINEで報告したが、2回目以降は「それはお気の毒さまでした」と話を合わせ、神妙な顔で手を合わせることにも慣れた。

さらに私は夕食に魚を出すつもりで、「肉と魚どちらが好きですか?」と聞く。母は決まって「魚です」と答える。「あら、よかったわ、今日はお母さんが好きな魚のどんぶりだよ」と言って、“死んだ娘”はごはんをよそう。会話が続けば、それでいいのだ。

火を使わない料理にすると、夕食前に会話を楽しむゆとりが生まれるように思う。

 

あじとピーマンの丼物

デイサービスでは生魚は出なかったので、ときどき丼物にしたり、刺身や漬けにすると喜んでくれました。あじの刺身と相性がいいピーマンを、一緒に合わせてどんぶり料理に。あじをさっと酢にくぐらせて、におい消しをして食べやすくします。

皿の端に添えたしょうがやわさびを魚と誤認して、かたまりごと食べてしまったことがあり、それ以来、魚の丼物には、しょうゆだけをかけるようになりました。

材料 2人分

温かいごはん 茶碗2杯分
あじ(三枚下ろし) 4枚
ピーマン 1個
塩 小さじ1/2
酢 40ml
しょうゆ 少々

作り方

  1. ピーマンは種を除いて、みじん切りにする
  2. あじは塩をふって10分ほどおき、キッチンペーパーで水気を取ったら酢にくぐらせる
  3. あじを粗みじん切りにして、ピーマンと軽く混ぜる
  4. どんぶりにごはんをよそい、3をのせ、しょうゆを回しかける

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