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もしかして認知症?「身近な他人」が気づく親のボケ もめない介護9

茶筒の上に輪ゴムのイメージ
コスガ聡一 撮影

もしかしたら、親が認知症かもしれない。そんな場面に遭遇したときのリアクションは人によってさまざまです。

認知症の母親を遠距離介護している美奈子さん(55)は、親戚の集まりがあったとき、ひとりの叔母の様子が気になったと言います。

「叔母はしっかり者で、いつもてきぱきと周囲の面倒を見るタイプ。でも、その日は電車の切符を買うのもひと苦労でした。その姿が、認知症がわかる直前の母親の様子と重なりました」

美奈子さんはいとこに、自分が気づいたことを話しました。ほかの親戚には聞こえないよう、気をつかって話しかけたつもりでしたが、いとこからは予想していなかったリアクションが返ってきました。

「顔色がサッと変わり、『あれぐらいのことで病気扱いするなんてひどい!』と怒られました。『もしかしたら……』となるべくやんわり伝えたのですが、カチンと来させてしまった。私自身、母親の認知症にもっと早く気づいてあげられれば……という思いがあり、黙っていられなかったのですが、難しいですね」

我が家も、認知症発覚のきっかけは「いとこの訪問」でした。介護経験のあるいとこは「冷蔵庫に賞味期限切れの食材がギュウギュウに詰まっている」「気温も上がってきているのに、食卓に食べかけの食事が置きっぱなし」といった“サイン”をいち早くキャッチ。

その場で地域包括支援センターに連絡し、家族で相談に行くよう、アドバイスをくれました。義母の場合、亡くなったはずの親戚が「遊びに来た」と力説するといった、ある意味、わかりやすい言動もありました。そのおかげもあってか、夫や義姉が「うちの親が認知症のはずはない」と言い張る場面はありませんでした。

でも、これが「冷蔵庫の中が荒れている」「会話が少しちぐはぐになってきた」という程度だったら、取り越し苦労だと一蹴してしまった可能性もあったかもしれません。

家族以外からの指摘は、家族がキャッチし損ねている貴重な情報

のちに、もの忘れ外来クリニックの医師に「近所の人など、少し離れた関係性の人のほうが、変化をよく把握しているものですよ」と言われました。

周囲は皆、勘づいているけれど、家族だけが気づかない。あるいは、うっすら気づいているけれど、見て見ぬフリをしてしまう。それは「よくあること」だというのです。

認知症の可能性を指摘されるのは、言われる側とすれば、少なからずショッキングな出来事です。いきなりそんなことを言い出すなんて……と傷ついたり、腹が立ったりするかもしれません。

でも、見方を変えれば、それは身近な家族がキャッチし損ねている貴重な情報のひとつ。そこで語られた<事実>には目を向ける価値があります。

情報をもとに、地域包括支援センターへの相談やもの忘れ外来受診など、具体的なアクションを起こすかはケースバイケース。もしかしたら、「注意深く見守る」という選択になるかもしれません。いずれにしても、「親も自分たちも年を取る」という現実を改めて受け止め、今後について家族で考える、格好のチャンスなのです。

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