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認知症の母を3人の子で1カ月ごと引き取るのはあり?【お悩み相談室】

遠くを見つめる高齢者のイメージ

見守り支援を行う梅澤宗一郎さんが、介護経験を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.私のきょうだいは3人で、私は東京、姉は福岡県、兄は北海道に住んでいます。埼玉県の実家で一人暮らしをしている母の認知症が進行したため、3人の自宅で1カ月ずつ引き取って介護をしようという話が持ち上がっています。認知症には環境変化はよくないとも聞きますが、1カ月ごとに住まいを変える方法は認知症を進行させてしまうでしょうか。(52歳・女性)

A.認知症の人ではなくても、1カ月ずつ居候するというのは、ストレスですよね。特に環境の変化はダメージが大きく、ストレスは認知症の症状に影響を及ぼします。きょうだいで平等に、というのは分かりますが、お母さんも交えてじっくり話し合えているのかが気になります。認知症であろうがなかろうが、人を支えるのは、実際は大変なことです。だからこそ、皆で時間を費やして相談してほしいと思うんです。

子どもがそろって親の状態を共有

思い切った提案かもしれませんが、一度3人そろって、週末や連休を利用してお母さんのいるご実家に泊まりませんか? もしくは3人でお母さんを連れて温泉旅行にでも出かけるのでもいいかもしれません。つまり、顔を合わせてじっくり話し合っていただきたいのです。今はもしかしたら、きょうだいのうち1人だけが、現在のお母さんの状況を見て「これ以上ひとり暮らしはさせられない」とほかの2人に相談したのかもしれません。まずは泊まりがけでお母さんの現在の状況を、子ども全員が自分の目で見て確認し、お母さんはどんなことが困難になっているのか、どんなことはできるのか、共有してほしいと思うんです。

また、顔を合わせて話すことで、それぞれが今置かれている状況もわかりますよね。実際には介護できる状況ではない家庭もあるかもしれない。無理してお母さんを引き取っても、両者にとって良い結果になりませんよね。

住まいを変えずに介護サービスを利用

自宅で受けられる介護保険サービスを利用して、一人暮らしを続けてもらうという選択肢もあります。状況が難しければ、誰か1人が引き取ってほかの2人が金銭的なサポートをするなど検討も必要ですね。

子どもたちが顔を合わせて来てくれたら、お母さんもうれしいと思います。そのこと自体は忘れてしまうかもしれませんが「子どもたちが自分のことを真剣に考えてくれている」という思いは残ります。現実的に泊まりがけは難しかったとしても、時間をかけて話し合い、後悔のない結論を出してほしいと思います。

【まとめ】一人暮らしの親をきょうだいで介護するには

  • 1カ月ごとに住まいを変えることは、お互いにとってストレス
  • 親本人の希望を聞いた上で、子どもたちがじっくり話し合いを
  • 住まいを変えない選択を含め、再検討

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