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もの忘れ・フレイルを吹っ飛ばせ!「人生をカッコよく」プロジェクト

「認知症は生活の総決算という面が強い」と話す東京医科歯科大の朝田隆特任教授
「認知症は生活の総決算という面が強い」と話す東京医科歯科大の朝田隆特任教授

人生100年時代、いくつになっても「人生をカッコよく」を目指すプロジェクトが1月29日、茨城県牛久市でスタートしました。東京医科歯科大の朝田隆特任教授が監修し、認知症とフレイル(加齢に伴う心身のおとろえ)の早期発見や予防に有効な対策を全国で進めることを目的としています。

厚生労働省「老人保健健康増進等事業」の一環として企画され、運営は、認知症予防に関心を持ち、朝田特任教授と共に研究を進める企業有志(MCIリング)が担います。この産官学の連携によって、全国各地の人々に、「元気なうちに認知症やフレイルを予防して人生をカッコよく過ごす」ためのトレーニングへの参加を呼びかける全国で初めての取り組みだそうです。

キックオフとなったこの日は、もともと小学校だった会場に100人を超える牛久市民が詰めかけ、朝田特任教授の講演で認知症予防のポイントを学び、そのために開発されたゲームや機器のデモンストレーションを体験しました。

軽度認知障害(MCI)のうちにトレーニングを

朝田特任教授は講演で、「日本の認知症患者の8割弱は80歳以上で、そのまた8割は女性です」と述べたうえで、「年をとってから発症する認知症は遺伝の影響が少なく、それまでの生活の総決算という面が強いことから予防効果が期待できます」と話しました。ただし、認知症予防に役立つとうたわれるサプリメントなどの多くは、効果があるという根拠(エビデンス)が示されておらず、朝田特任教授「実際に予防効果が期待できるのは運動と認知トレーニングだ」と考えているそうです。

運動ならば、おしゃべりしながら続けられる程度の有酸素運動(歩行、ジョギング、水泳、体操、ダンス、なわとび、サイクリング)を1日20~60分、週3~5回おこなうことが勧められるということです。

100人を超える参加者が朝田特任教授の講演に耳を傾けた。
100人を超える参加者が朝田特任教授の講演に耳を傾けた。

また、家庭の食卓での配膳作業をひと工夫し、いつもとは逆向きにはしや茶わん、皿などを並べる「逆さま配膳」のほか、文部省唱歌の歌詞の表記を変えて間違いを見つける方法、日用品のシルエットの一部を示し、それが何かを当てる方法などを紹介しました。

こうした認知トレーニングは、たとえば注意力が低下して1,980円と19,800円の値札を読み間違えたり、洗濯した靴下をペアにできなかったり、視空間認識能力が低下して地図が読めなくなったり、地下鉄の駅から出るとどこにいるのか見当がつかなくなったりしたときに、より効果が期待できるのだそうです。

また、認知症の危険因子の一つとして難聴を挙げ、「コミュニケーション不足から孤独やうつ状態におちいり、認知症にならないよう、聞こえにくくなったと思ったらためらわずに補聴器をつけましょう」と呼びかけました。

楽しみながら効果的な脳トレができるゲームなどを体験

朝田特任教授の講演後は、MCIリング企業各社がそれぞれ開発した機器を説明し、別室でデモンストレーションがおこなわれました。

ニッセイ情報テクノロジーが開発した「暮らしの脳トレ」は、高齢者が日常生活で苦手になる課題を取り上げ、ドラマ形式で楽しく記憶力、視空間能力、注意力、推論力をトレーニングするためのコンピュータゲームです。

ネスレ日本が紹介した「ブレインHQ」は、米国で開発され、タブレットやスマートフォンなどで楽しみながら視野の拡大や認知機能の向上が期待できるプログラム。交通事故や認知症のリスクが減少するなどの効果が期待できるとしています。

プログラムを試してみる参加者
プログラムを試してみる参加者

シチズン・システムズの「マインドフルネス」は、穏やかな音楽を聴きながら顔の血流をはかり、リラックスした状態を保てる呼吸法などを体得するものです。

島津製作所は、近赤外線で脳の血流を測定し、脳トレをしたり、リラックスした気持ちになったりしたときに、脳のどの領域に多く血液が流れたかを色調で表現する、脳機能イメージングfNIRS(ニルス)を紹介しました。

牛久市民は、こうした機器による脳活動の評価や認知トレーニングを、3月29日までの平日(祝日を除く)は毎日、スタッフの案内で試すことができるということです。

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