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平日の固定電話が危ない 特殊詐欺に狙われる70~80代女性

高齢者の特殊詐欺被害が毎日のように報道されていますが、詐欺グループの活動傾向について知っている人は少ないのではないでしょうか。

特殊詐欺とは、電話やメール、Faxなどを使って面識のない人から現金などをだまし取ることで、よく知られるオレオレ詐欺のほかに次のようなものがあります。

  • 架空請求詐欺……利用した覚えのない利用料金や退会料を請求する
  • 還付金等詐欺……医療費過払いなどの理由でお金を受け取れると告げて被害者をATMに向かわせ、携帯電話で嘘の指示をしながらお金を振り込ませる
  • 融資保証金詐欺……実際には融資をしないにもかかわらず、融資する旨の広告を行い、保証金などをだまし取る

手口としてもっとも多いのはオレオレ詐欺で、次に架空請求詐欺、還付金詐欺と続きます。

東京・神奈川が狙い撃ち

実は特殊詐欺被害額は、全国的には2014年の565億円をピークに年々減少傾向にあり、なかでも還付金詐欺はかなり減少しています。警察庁の報告によると、ATMで市民などの声がけが功を奏し、この3年間で3万件近く、水際で阻止できました。

一方、全国的な減少傾向に反して神奈川県は16年から、東京都は17年から毎年被害額が上昇しています。神奈川県と東京都が狙い撃ちされているのです。その傾向は18年になっても変わらず、さらに勢いを増しています。東京都は20188月までで大幅に増えて60億円、神奈川県も37億円の被害額です。この数値は届出のあったものだけで、実際の被害額は公表数値を遙かに上回っていると考えられます。

詐欺グループは週休2日

「被害に遭うのは大半が70代、80代の女性です」

そう話すのは、神奈川県座間市、相模原市周辺を活動拠点に、高齢者をターゲットにした特殊詐欺や悪質商法の被害防止のための活動を行っている団体「一般社団法人シニア消費者見守り倶楽部」代表理事の岩田美奈子さんです。

「詐欺グループが主に活動する時間帯は平日の11時~14時で、この時間帯に家にいて固定電話を取る人が狙われます。グループの多くは週休2日で平日9時~17時勤務。基本的には土日は電話がかかってこないと考えてよいでしょう。平日の固定電話が要注意なのです」

特殊詐欺600×450

また、岩田さんによると、全国の消費者生活センターに寄せられた相談件数が急増しています。その理由を「民事訴訟管理センター、法務省管轄支局国民訴訟通達センターなどを騙って供託金などを払わせようとする新しい手口()のはがきが大量に送られた。終活に付け込んだ悪質な商法もある」と言います。

架空請求に関する情報(国民生活センターのHPが開きます)

被害を相談できない人こそ救いの手を

高齢消費者の被害を防ぐには、未然防止・早期対応・継続した支援が必要です。岩田さんは自身の消費生活相談員の経験と研究から「高齢者の被害のフローと支援について」をまとめていて、被害に遭っても相談しない人がいることに注目しています。誰かに相談すれば警察などの公的機関につながり、もしかしたらお金が戻ってくるかもしれません。ところが実際は、被害に気づいても自責の念や自尊心から、あるいは仕返しが怖い、相談先がわからないなどの理由で相談しない人や、また情報不足や認知症などで本人が被害に気付いていないケースもあります。

岩田さんは、「未然防止のためには詐欺グループの手口の情報共有、周囲の人が『これはおかしい』と気付いて支援につなげることが必要」と強調します。そのためには、公的機関の活動だけでは限界があり、地域で見守るネットワークが大切です。地域包括支援センター、社会福祉協議会、民生委員、ボランティア団体、民間企業など、日頃から高齢者に接している人たちの“気付き”が、被害防止策につながるのではないでしょうか。

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