認知症になっても働きたい ケアマネのサポートは 専門家がアドバイス
構成/熊谷わこ
Q. 都内でケアマネジャーをしています。現在、デイサービスを利用している認知症の男性(55歳)から「少しでも働きたい」と相談を受けています。病状が少し進行していて、障害者雇用枠では難しい状況ですが、働ける場所はないでしょうか。
A. 介護保険サービスには、通所してレクリエーションやリハビリ、食事、入浴などを行う「デイサービス」があり、認知症の方も日中過ごす場として利用されています。しかし利用者の多くは高齢者なので、年齢が若いとなじめないことが多いようです。また若い場合、できれば仕事をしたい、少しでいいからお給料が欲しいという人も少なくありません。とはいえ認知症になる前と同じように働くのは難しく、症状が進むと障害者雇用枠でも採用されづらいというのが現実です。
「認知症の方の働く場」としてぜひ活用していただきたいのが、「障害者就労継続支援B型事業所」です。障害者就労継続支援事業所は障害のある人が作業をする施設で、工賃(給料)も支給されます。
A型とB型があり、A型は直接雇用契約を結んで自治体ごとに決められている最低賃金が保証されます。一方B型は、雇用契約は結ばず、自分のペースで作業をして、その売り上げを全員に分配するシステムです。デイサービスのように通所して、そこが仕事の作業所になっているようなイメージですね。
A型はある程度生産性を求められるので、症状が進んだ方は難しいですが、B型は柔軟に受け入れてくれるところが多く、作業内容もパン屋さんでパンを作ったり、古本屋さんで本をパウチしたり、高齢者の福祉施設などで人形劇を演じたりなどさまざま。工賃は月1万~3万と多くないものの、たくさんの方が生き生きと働いています。
利用するには、精神障害者保健福祉手帳を取得していることなど障害のあることが条件になりますが、このような社会資源があることを、当事者やご家族はもちろん、高齢者の福祉にかかわる職種の方にもぜひ知っておいていただきたいと思います。
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