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副業ヘルパー

ついにヘルパーデビュー 初の仕事は自宅療養する男性の車椅子介助45分

ヘルパーの仕事は早朝から始まる
ヘルパーの仕事は早朝から始まる

新卒で入社した出版社で、書籍の編集者一筋25年。12万部のベストセラーとなった『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(多良美智子)などを手がけた編集者が、40代半ばを目前にして、副業として訪問介護のヘルパーを始めることを決意しました。働き始めるために必須とされた「介護職員初任者研修」を無事修了。ヘルパーとしてT事業所に登録し、いよいよ、勤務のシフトや訪問先が決まっていくこととなりました。

勤務日を「金曜日の午前中」とした理由

オリエンテーションが終了し、いよいよ実際の勤務に向けての具体的な調整が始まりました。
まずは、勤務可能な日時を聞かれました。週1回、数時間しか働けないということは、すでに理解してもらっています。
「金曜日の午前中でお願いできますか」と答えました。
週明けの月曜日は避けておきたいし、週の中日にポツンと副業が入ってくるのも、ちょっと調子が狂って疲れそう。月~木曜日は本業のみに集中し、金曜日に副業というのが、無理がないように思いました。時間帯については午前にするのが、午後は丸々本業にあてられていいと思いました。
すると、次には、「金曜日の午前中であれば、何時でもいいですか。朝早くても大丈夫ですか」と聞かれました。
あ、なるほど!! 「朝早く」という手があったか! たとえば午前7時台や8時台から勤務を始めて、午前9時や10時に終了すれば、本業にほとんど差し障らずにすみます。とはいえ、あんまり早すぎても起きる自信がない。疲れがたまっている金曜日でもあるし…。
「朝早いとは、6時とかですか?」と聞くと、
「さすがにそれはないですよ。始業が7時からなので」と、笑う職員さん。
よかった…、5時起きにはならなさそう。
「では金曜午前中で、まずは1件、シフトを調整してみますね」となりました。

初めての訪問先は、大病されて自宅療養中の方

数日後、「シフトが決まった」と、事業所の職員さんから電話がありました。
おぉ、ついにヘルパーデビューか…。どんなお宅に通うことになるのだろう。ドキドキです。
事業所に行き、事前説明を受けました。
マンションでひとり暮らしをするNさん(70代、男性)。腎臓を悪くされ、ご自宅で療養中。週に3回、人工透析に通われています。朝、クリニックが車でお迎えに来るので、私の仕事は、その送り出しの介助をするとのこと。
勤務は午前8時から8時45分まで。あれ? 45分間か。1時間じゃなく、中途半端な時間なんだ。
「8時40分にはお迎えの車が来るので、見届けて8時45分に終了、という形です。訪問介護は必ずしも1時間単位ではなく、45分や30分のサービスはけっこう多いです。20分という超短時間のこともあります」と職員さん。
そんなふうに短い時間のサービスがあり得るとは、知りませんでした。
Nさんは、近所にお子さんがいますが、家庭も仕事もあり、ひとりですべてを背負いきれないことからヘルパー利用となったとのことでした。

人工透析クリニックのお迎えの車まで車椅子でお連れするのが任務

初任者研修で習った車椅子の介助
初任者研修で習った車椅子の介助

さらに、職員さんからNさんの状況についての説明がありました。
「Nさんは常に具合が悪くてベッドで過ごされていますが、立ち上がりに介助は必要なく、お部屋の中をご自分で歩かれます。ただお住まいはマンションで、お部屋から玄関までが遠く、歩くのは厳しいので、車椅子にお乗せすることになっています」
なるほど、車椅子はそういう使い方もされるものなのですね。室内でも外でも移動は常に車椅子という方もいれば、外出時だけ車椅子利用という方もいる。現場での実際の活用方法をあらためて知りました。
Nさんの介護サービスでは、初任者研修で習った「車椅子の介助」を実践することになりそうです。

事前説明を受けたものの、なにしろまったくの初体験。スムーズに業務をこなせるか、自信がありません。
「大丈夫ですよ。そのために“同行”があるんですから。まずは職員と一緒に訪問して、実際の流れを見てください」
そうだ、自分ひとりで行く前に、「同行」の回をはさむのだった。いきなりぶっつけ本番ではなく、ホッとしました。
早速、同行日も決まり、着々とヘルパー業始動のときが近づいてきました。

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